2015 Fiscal Year Research-status Report
ニューロンゲノムの不安定化は記憶の不安定化をひき起こすか
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15K14306
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
山元 大輔 東北大学, 生命科学研究科, 教授 (50318812)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | Btkチロシンキナーゼ |
Outline of Annual Research Achievements |
我々は既に、Tec familyの非受容体型チロシンキナーゼ、Btk29Aの機能喪失が、雌の卵巣において生殖細胞を過剰に増殖させ、腫瘍を引き起こすことを明らかにしている。Btk29A機能喪失のこの作用は、卵巣のニッチにおいて、piwi遺伝子の転写レベルが低下することに起因する。PiwiはpiRNAを伴ってトランスポゾンからの転写物を切断したり、クロマチンの制御を通じ、トランスポゾンの活動を抑止することが知られている。従ってPiwiの減少を引き起こすBtk29A遺伝子機能喪失は、トランスポゾン抑制能の低下をもたらし、ひいてはゲノムの安定性を損なう推定される。そこで、Btk29A変異体について求愛条件付けパラダイムにより記憶を測定した。その結果、Btk29A変異体は記憶障害を示すことが明らかになった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
ゲノム不安定化と記憶の不安定化の因果関係を検討するのが当初の目的であり、本年度の結果はトランスポゾン抑制能の低下が記憶障害を引き起こす可能性を示唆することから、おおむね順調に進捗したと考える。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、Btk29Aがどのような分子機構によってpiwiの転写を制御するのか、またBtk29Aの機能欠損によって生じる記憶障害の原因を、全てpiwiの低下に帰することが可能なのか否か、慎重に検討を加える。
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Research Products
(1 results)