2015 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
15K14376
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
宮川 清 東京大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (40200133)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 細胞周期 / 不均等細胞分裂 |
Outline of Annual Research Achievements |
DNA二本鎖切断を相同組換えによって修復するタンパク質Rad54Bは、足場タンパク質として細胞周期の進行を制御するMDM2-MDMXとも直接結合し、この複合体によるp53の分解を促進して、DNA損傷時の細胞周期チェックポイントの機能を抑制する。このように、Rad54BはDNA損傷応答における一つのハブとしての役割を果たしていることから、DNA損傷と不均等細胞分裂の関連性を探索する目的において、神経芽細胞腫細胞株において観察される不均等細胞分裂へのRad54Bの影響を検討した。 がん遺伝子MYCNが増幅していない神経芽細胞腫においては、紡錘体に存在するタンパク質であるNuMAが、細胞分裂の際に1つの細胞の細胞表層に偏在し、もう一方の細胞には分布しない不均等細胞分裂の表現型を示すために、この細胞株を用いて、Rad54Bの発現レベルの変化によるNuMAの分布への影響を解析した。その結果、Rad54Bのノックダウン細胞では、コントロール細胞と比較して、NuMAの不均等細胞分裂の頻度が低下していることが観察された。すなわち、細胞分裂後の2つの細胞ともにNuMAが存在する均等分裂の表現型の増加が認められた。 この結果より、DNA損傷応答の機構は、不均等細胞分裂を制御する機構ともRad54Bを介して連携している可能性が想定され、これらは細胞の恒常性を維持するためのネットワークを形成しているものと考えられた。この知見は、不均等細胞分裂を行うがん幹細胞が、どのように維持されているかを理解するために貢献するものである。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
ゲノム安定性維持に関わるタンパク質であるRad54Bが、不均等細胞分裂に影響を及ぼす結果が得られたために、本研究課題の目的であるがん幹細胞の機能に関係する新しい基本原理の解明は順調に進捗していると判断される
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Strategy for Future Research Activity |
神経芽細胞腫の細胞株で観察されたRad54Bの不均等細胞分裂への影響が、どのような機序によって制御されているのかを解析することによって、本研究課題の目的は達成される予定である。
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[Journal Article] High RAD54B expression: an independent predictor of postoperative distant recurrence in colorectal cancer patients2015
Author(s)
Yuzo Nagai, Yoko Yamamoto, Takaaki Yasuhara, Keisuke Hata, Takeshi Nishikawa, Toshiaki Tanaka, Junichiro Tanaka, Tomomichi Kiyomatsu, Kazushige Kawai, Hiroaki Nozawa, Shinsuke Kazama, Hironori Yamaguchi, Soichiro Ishihara, Eiji Sunami, Takeharu Yamanaka, Kiyoshi Miyagawa, Toshiaki Watanabe
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Journal Title
Oncotarget
Volume: 6
Pages: 21064-21073
DOI
Peer Reviewed / Open Access
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