2016 Fiscal Year Annual Research Report
Functional relationship between mRNA and divergently transcribed lncRNA
Project/Area Number |
15K14397
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Research Institution | Japanese Foundation for Cancer Research |
Principal Investigator |
丸山 玲緒 公益財団法人がん研究会, がん研究所, 研究員 (60607985)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | lncRNA / がん |
Outline of Annual Research Achievements |
長鎖非コードRNA(lncRNA)の重要性の認識、アノテーション情報の普及、そして次世代シークエンサーによる解析の一般化により、がんにおいて発現の異常を認めるlncRNAのリストは増加の一途をたどっている。しかし個々のlncRNAの分子機構の解明が追いついておらず、それらの解明が急務である。本研究では特にゲノム上に多数存在する双方向性に転写されるlncRNAとmRNAに焦点を絞り、それらに機能的な関連がありうるかどうかという点から解析を行った。 まず自検例ならびに公共データベースを用いて解析を行い、がんにおいて発現がともに上昇しているmRNAとlncRNAのペアを4組同定し、さらなる解析の対象とした。種々のがん細胞株においてこれらの発現をsiRNAを用いてノックダウン(KD)したところ、mRNA単独、lncRNA単独のKDともに細胞増殖を抑制する2組のペアを同定した。そのうちの1組に関して機能的な解析を行った。このmRNAは膜タンパクをコードしており、既にがんや免疫応答との関連が示唆されている。初めにlncRNAがcisに作用しmRNAや膜タンパクの発現に影響を与えうるかどうか、KDや過剰発現の系を用いて検証したが、いずれも発現への影響は認めなかった。次にlncRNAが膜タンパクの局在に影響を与えうるか、フローサイトメトリーや細胞蛍光免疫染色にて確認したが、こちらも影響は認めなかった。さらにlncRNAが膜タンパクの機能に直接影響を与える可能性はないか、下流シグナルの活性化の変化等を検証しているが、今のところはっきりとした関連を示す結果は出ていない。今後も検討を加えていくが、現時点ではこの双方向性に発現するlncRNAとmRNA(ならびに膜タンパク質)には直接的な機能的関連はなく、独立した機能や生理学的意義を有しているものと考えている。
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