2015 Fiscal Year Research-status Report
Gene body領域エピゲノムのモニタリングによる細胞成熟誘導法の最適化
Project/Area Number |
15K14431
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
小田 真由美 慶應義塾大学, 医学部, 助教 (80567511)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | DNAメチル化 / 細胞分化 / エピゲノム / 幹細胞 / 転写伸長 / 細胞成熟 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究計画では、細胞分化モデルを用いて遺伝子のgene body領域のDNAメチル化状態の変化を明らかにし、細胞成熟過程のエピゲノム変化とそれを利用した細胞成熟モニタリング法を確立する。①細胞種特異的レポーターを持つES細胞株の作製と分化誘導、②培養条件によるDNAメチル化レベルの操作および③分化誘導時のgene body領域のエピゲノム計測と転写効率の定量化により、より機能的細胞の分化法選択に役立つツールを作出し、さらにこれを④ヒトES/iPS細胞に利用することを目的とする。 27年度はまず、分化状態の均一な細胞集団を抽出するためにMyh6プロモーターを用いたEmerald GFPレポーター(Myh6:Em)を持つES細胞を樹立した。DNAメチル化レベルと細胞分化誘導効率の関係を検討するために、細胞を通常培養条件(FBS存在条件)基底状態(2i+LIF培養条件)においたうえで細胞の分化誘導を試みたところ、既報の通り基底状態からの分化誘導効率の向上が見られた。この2つの培養条件からの分化誘導を行ったMyh6:Em陽性心筋細胞をFACSソーティングにより回収する試みを行っているが、FBS存在条件からの分化誘導効率が低いため解析に必要な量の細胞を回収するに至っていない。このことを解決するため、現在、より早期マーカーの遺伝子レポーターを選択し分化誘導法の改善を試行中である。一方、生体由来細胞のDNAメチル化解析では、心筋細胞分化誘導直後に細胞特異的遺伝子群がgene body領域を含むglobal DNAメチル化を回避していることが明らかになった。Gene body領域のエピゲノム構成には未分化細胞状態からの継承と分化成熟過程での転写依存性修飾の両方が関わっていると考えられるため、その関係を精査し、機序に即した効果的な成熟状態モニタリングを検討していく。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の研究計画から、ほぼ27年度中に進めておくべき①細胞種特異的レポーターを持つES細胞株の作製と分化誘導、②培養条件によるDNAメチル化レベルの操作についてある程度の条件検討を進めることができた。また、③分化誘導時のgene body領域のエピゲノム計測と転写効率の定量化に重要な生体由来心筋細胞の解析が十分に進められており、ほぼ計画通りの進捗であるといえる。
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Strategy for Future Research Activity |
28年度は③分化誘導時のgene body領域のエピゲノム計測と転写効率の定量化を進めていく。細胞種特異的レポーターを当初のMyh6レポーターの他に複数使用することで、対象となる細胞集団の違いが生まれるため、その違いも含めて慎重に解析していくことで、分化細胞集団の性質も踏まえたより正確な細胞成熟状態の観測のつながると期待している。また、解析に伴い現在モデルとして用いている心筋細胞とその他の細胞との違いも明らかになってきたため、細胞成熟の細胞種ごとに異なる戦略を明らかにしていくことも視野に入れて研究を進めていく。
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Causes of Carryover |
試薬代金の改訂により合計額における差額が生じたため、これを次年度の研究費として使用する。未使用額の発生は、効率的な物品調達を行った結果である。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
物品費(主に試薬代)として使用する予定。
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[Journal Article] H1foo has a pivotal role in qualifying induced pluripotent stem cells2016
Author(s)
Akira Kunitomi, Shinsuke Yuasa, Fumihiro Sugiyama, Yuki Saito, T Seki, D Kusumoto, S Kashimura, M Takei, S Tohyama, H Hashimoto, T Egashira, Yoko Tanimoto, Saori Mizuno, S Tanaka, H Okuno, K Yamazawa, H Watanabe, M Oda, R Kaneda, Y Matsuzaki, H Okano, Ken-ichi Yagami, M Tanaka, K Fukuda
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Journal Title
Stem Cell Research
Volume: 印刷中
Pages: 印刷中
Peer Reviewed / Open Access / Acknowledgement Compliant
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[Journal Article] Transient bursts of Zscan4 expression are accompanied by the rapid derepression of heterochromatin in mouse embryonic stem cells.2015
Author(s)
Akiyama T, Xin L, Oda M, Sharov AA, Amano M, Piao Y, Cadet JS, Dudekula DB, Qian Y, Wang W, Ko SB, Ko MS
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Journal Title
DNA research (Oxford Journals)
Volume: 22
Pages: 307-318
DOI
Peer Reviewed / Open Access / Int'l Joint Research
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