2015 Fiscal Year Research-status Report
渡りと遺伝的分化に着目したアホウドリの保全単位の解析
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15K14439
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
綿貫 豊 北海道大学, 水産科学研究科(研究院), 教授 (40192819)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
佐藤 文男 公益財団法人山階鳥類研究所, 保全研究室, 研究員 (00099996)
江田 真毅 北海道大学, 北海道大学総合博物館, 講師 (60452546)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 保全生物学 / バイオロギング / 種分化 |
Outline of Annual Research Achievements |
アホウドリは絶滅危惧種であり,我が国の鳥島と尖閣諸島にだけ繁殖する海鳥である。近年の遺伝学的研究により,鳥島タイプと尖閣タイプに隔離されていることがわかったため,その保全単位を生態学的側面からも明らかにする必要がある.本研究は,海鳥の種分化機構の一つである、越冬海域の分断とそこでの海洋環境の季節性の差がもたらす繁殖時期の分断機構に着目し、鳥島で同所的に繁殖する両タイプの越冬地,繁殖期への到来時期,越冬期間中の栄養段階を明らかにすることを目的としている. 平成28年2~3月に鳥島で野外調査を実施し,繁殖個体を再捕獲し,昨年に装着したジオロケーターの回収,血液と羽根のサンプリング,餌のサンプリング,求愛行動の観察を行った.さらに,別の繁殖個体にジオロケーターを装着した.鳥島タイプ1個体,尖閣タイプ2個体から2年間の移動軌跡のデータを得た.その結果,両タイプは非繁殖期を異なる海域で過ごすことが示唆された.尖閣タイプ2個体はいずれも,2年ともオホーツク海で非繁殖期を過ごした.一方,鳥島タイプ1個体は2年とも非繁殖期のはほとんどの期間をベーリング海で過ごしていた.繁殖期においては,両タイプとも小笠原列島周辺から北海道周辺海域を利用していた.個体数が少ないため,繁殖時期の検討や安定同位体比の分析は28年度実施予定の野外調査終了後におこなう予定である.また,アホウドリ類を含む我が国の海鳥の現状について取りまとめやアホウドリで実施予定の海鳥の羽根の水銀と安定同位体比のレビューをおこない,それぞれ学会で報告した.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
越冬海域については、サンプル数は少ないものの昨年度装着個体から期待通りの傾向が得られた.また組織サンプルを得ることができた.今年度はそれぞれ3個体に装着できた.
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Strategy for Future Research Activity |
予想通り,両タイプの越冬地が異なることが示唆されたので,その食性や生活史にも差があることが期待される.血液のDNAを使った系群解析,血液や羽根の安定同位体比の解析による食性の推定をおこなう。またサンプル数が少数なのでさらに野外調査を継続し,越冬地と食性に関するサンプル数を増やす.回収したロガーは後半作動してないものがあり,特に,繁殖地への帰還タイミングの情報が不十分であったので,この点に留意しデータを収集する.
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Causes of Carryover |
安定同位体比測定準備が整わず,その消耗品を購入しなかった.
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
安定同位体比測定のための消耗品購入に充てる.
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Research Products
(2 results)