2016 Fiscal Year Research-status Report
渡りと遺伝的分化に着目したアホウドリの保全単位の解析
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15K14439
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
綿貫 豊 北海道大学, 水産科学研究院, 教授 (40192819)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
佐藤 文男 公益財団法人山階鳥類研究所, 保全研究室, 研究員 (00099996)
江田 真毅 北海道大学, 総合博物館, 講師 (60452546)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 種の保全 / 種分化 / バイオロギング / 海鳥 / 海洋生態 |
Outline of Annual Research Achievements |
鳥島に繁殖する2系統のアホウドリ個体の系統を血液DNAから特定した上で、越冬海域を明らかにし、その保全に役立てることを目的とし、鳥島における野外調査をH29年2月10日から3月5日まで実施した。昨年、一昨年にアホウドリ12個体に装着したジオロケーター12台のうち、8台を回収した。血液のDNAタイプの解析を実施したところ、5個体は尖閣タイプ、3個体は鳥島タイプであることがわかった。さらに、越冬海域における食性に関連した情報を、体組織の安定同位体比よって得るため、それぞれの個体から、越冬海域で生え変わったと推定される羽の一部を採取した。 回収したジオロケーター6台からデータをダウンロードし、予備的な解析を行ったところ、尖閣タイプ3個体のうち1個体はベーリング海で、2個体はオホーツク海で非繁殖期(6-10月)を過ごしていた。鳥島タイプ3個体はいずれもベーリング海で非繁殖期を過ごした。残り2台について、データダウンロードを業者に依頼している。昨年と合わせると、鳥島タイプ3個体はいずれもベーリング海で、尖閣タイプ5個体のうち4個体はオホーツク海、1個体がベーリング海を利用した。また、2年以上追跡した5個体(尖閣タイプ4個体、鳥島タイプ1個体)のデータによると、同じ個体は毎年同じ海域で非繁殖期を過ごすことが明らかとなった。H28年10月6日北大東京オフィス大会議室において、成果報告会を実施し、問題点お洗い出しと取りまとめに向けての打ち合わせを行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
予定通り、尖閣、鳥島二つのタイプの個体から、昨年度と合わせると、必要最低限のサンプルを得ることができた。予想通り二つのタイプの越冬海域は概ね異なっていることがわかったので、繁殖地帰還日と安定同位体比の分析を予定通り進める。
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Strategy for Future Research Activity |
予想通りタイプにより越冬海域が概ね異なることがわかったので、回収した全てのジオロケータのデータを再度詳細に分析し、タイプ(尖閣タイプvs鳥島タイプ)と越冬海域(オホーツク海vsベーリング海)の関係を正確に明らかにする。その上で、タイプ間の生殖隔離の鍵となる、繁殖地到着時期をジオロケーターのデータから明らかにする。また各個体から採取した羽の安定同位体値を測定し、越冬海域での環境暴露(餌)について考察する。鳥島タイプについてはややサンプル数が少ないので、これまでの衛星追跡個体の中で利用できるものがあればそれも利用する。以上をとりまとめ、二つのタイプの越冬地を含めた空間利用、渡り時期、餌の差を明らかにし、学会発表、学術雑誌への投稿などの取りまとめを行う。
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Causes of Carryover |
都合により安定同位体比分析が実施できなかった。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
安定同位体分析を2年分まとめて実施する
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