2016 Fiscal Year Annual Research Report
Development of a new freeze replica method to observe the hydrophobic portion of membrane lipids
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15K14506
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
藤本 豊士 名古屋大学, 医学系研究科, 教授 (50115929)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
辻 琢磨 名古屋大学, 医学系研究科, 助教 (40725628)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 膜脂質 / 電子顕微鏡 |
Outline of Annual Research Achievements |
アラキドン酸のアシル基末端にアルキン基を付加したアラキドン酸(アルキンアラキドン酸)によって膜脂質を代謝ラベルした細胞を用いて、凍結割断レプリカ上でアラキドン酸を標識する方法の開発を試みた。通常の凍結割断レプリカでは可視化できない脂質二重層の疎水性部分を露出させた状態の凍結レプリカを作製するための新たな方法として、1) 凍結割断することなく膜の真表面に白金・炭素を蒸着してレプリカを作製する、2) 凍結割断後にエッチングで膜の真表面を露出させてからレプリカを作製する、の2つの方法を比較し、収率の高い後者を選択した。この方法で作製したレプリカを用いて、アルキンアラキドン酸にアジドビオチンをクリック反応で結合させ、抗ビオチン抗体、プロテインA・金コロイドで標識を行ったが、特異的な反応を得ることができなかった。一方、脂質二重層の親水性部分だけが露出しているはずの通常の凍結割断レプリカでは、上記のクリック反応で特異的な標識が認められた。標識は特定のオルガネラ膜にあり、そのうちの一部の膜では顕著な標識のクラスターが存在した。またそのオルガネラへのアルキンアラキドン酸の分布は、クリック反応による標識を蛍光顕微鏡で観察することによっても確かめられた。これらの結果は多価不飽和脂肪酸であるアラキドン酸が脂質層内で大きく折れ曲がり、アシル基末端は膜の親水性表面近くに分布する確率が高いという予測と一致する。今後、オレイン酸、パルミチン酸など他の脂肪酸についても検討を進め、膜脂質のアシル基が細胞内の異なるコンパートメントでどちら側の膜葉にあるのか、またその中でどのように分布するのかなど、従来の方法では難しい解析を順次、進める予定である。
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