2016 Fiscal Year Annual Research Report
Study on a non-visual photoreception lost in the course of mammalian evolution
Project/Area Number |
15K14568
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Research Institution | Osaka City University |
Principal Investigator |
小柳 光正 大阪市立大学, 大学院理学研究科, 准教授 (30379276)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 生理学 / 有袋類 / 進化 / 光感覚 / ロドプシン |
Outline of Annual Research Achievements |
哺乳類は進化の過程で多数の光受容タンパク質(オプシン)遺伝子を失っており、他の脊椎動物に比べて光受容能に乏しいと考えられている。しかしながら、近年、一般的な哺乳類(真獣類)には存在しないオプシン遺伝子(TMT2オプシン)が有袋類のゲノム中に残っていることが明らかとなり、このことは、有袋類は真獣類が失った光受容能をまだ保持していること、すなわち哺乳類の光受容には多様性があることを示唆している。そこで本研究では、TMT2オプシンの機能解析を起点として、有袋類がもつ“真獣類が失った”光受容能(おそらく眼外光受容能)の解明を目指す。平成28年度は以下の成果を得た。 ・オポッサム成体におけるTMT2オプシンの発現パターンをqPCRによって明らかにした。 ・オポッサムの発生段階に沿ったTMT2オプシンの発現パターンの解析に成功した。 ・TMT2オプシンに加え、視覚以外(非視覚)の機能に関与すると考えられている他のオプシン(これらは真獣類にも存在)についても同様に、培養細胞発現系を用いたタンパク質機能解析および成体および発生段階に沿った発現パターンの解析を行った。
今年度明らかにしたオポッサムにおけるTMT2オプシンの発現パターンと、昨年度までに明らかにしたTMT2オプシンのタンパク質レベルの性質から、有袋類がもつ真獣類にはない光受容能の特徴についての手掛かりが得られた。また、TMT2オプシンと同じグループに属するOpn3(真獣類も含め脊椎動物全般が持つ)についても光受容タンパク質としての分子特性を明らかにした。TMT2とOpn3、さらには視覚以外(非視覚)の機能に関わる他のオプシンの発現パターンとの比較から、非視覚オプシンの機能のすみわけが明らかとなった。
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Research Products
(24 results)