2016 Fiscal Year Research-status Report
コガタルリハムシを用いた難防除雑草ギシギシ類の生物的制御技術体系の開発
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15K14641
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Research Institution | Akita Prefectural University |
Principal Investigator |
露崎 浩 秋田県立大学, 生物資源科学部, 教授 (20217384)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
阿部 誠 秋田県立大学, 生物資源科学部, 准教授 (70414357)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | コガタルリハムシ / 難防除雑草ギシギシ類 / 生物的制御技術 / 季節消長 / 孵化・成育と温度 / 休眠成虫の生存率 / 放虫技術 / 人工餌 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、難防除雑草のギシギシ類を昆虫(コガタルリハムシ)により制御する技術体系の開発を目指している。その研究計画は「コガタルリハムシの生態の解明」と、その知見に基づく「実用技術開発」から構成される。平成28年度は、前年度に引き続き、「コガタルリハムシの生態の解明」の研究を行うとともに、「実用技術開発」の新たな研究に取り組んだ。その結果、次の1~6の研究実績を得た。 「コガタルリハムシの生態の解明」〈1〉前年度に引き続き、野外において季節消長の調査を行い、孵化、幼虫の令、および成虫の潜土等の時期の知見を蓄積した。〈2〉本甲虫の孵化および幼虫の成育に及ぼす温度の影響を、人工気象器を用い明らかにし、野外における季節消長と気温との関連を考察した。〈3〉本甲虫は、成虫休眠して越夏・越冬するが、その動態に関する知見はこれまで皆無であった。平成28年度の研究により、越夏・越冬後の成虫の生存率、および越夏・越冬時の休眠成虫の土壌中の位置(深さ)について、これまでまったく知られていなかった知見を得た。 「実用技術開発」〈4〉休眠成虫の高い生存率を得るためには、成虫が休眠する土壌を乾燥させないことが重要であることが分かった。〈5〉本甲虫を6月に野外に放虫した場合、その翌年に発生する本甲虫がどの程度分布を拡大するかを把握した。〈6〉人工餌の開発にむけ、ギシギシ類3種(ギシギシ、エゾノギシギシ、スイバ)を餌とした場合の本甲虫の成育量の差異について知見を得た。 以上の研究実績は、ギシギシ類を生物的に制御する技術体系を開発する上で、その基礎および応用面で重要な知見である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
以下の1~3の理由により、研究はおおむね順調に進展している。 1 平成28年度に行った実験は、前年度に行った実験の繰り返し、あるいは、予備的実験をふまえて計画・実施したものであったため、予期していない事象は生じなかった。 2 研究分担者と定期的な検討会を持ったため、適切な調査・研究がなされた。 3 実験補助者による補助を得て、労力・時間を多く必要とする調査を実施することができた。
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Strategy for Future Research Activity |
研究計画は「コガタルリハムシの生態の解明」と、その知見に基づく「実用技術開発」から構成される。 「生態の解明」においては、平成28年度までに行った研究の結果をふまえ、観察された本甲虫の生態に関与する要因の解明を進める。 「実用技術開発」においては、主に「放虫技術」および「人工餌開発」を中心に研究を実施する。 これまでと同様に、研究分担者と連携して研究を推進する。また、研究補助者の補助を得て、精度の高い実験データを蓄積する。 以上を通じ、難防除雑草ギシギシ類の生物的制御技術体系開発の先駆的研究を推進する。
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Causes of Carryover |
人件費として使用予定としたアルバイト料に、主な未使用が生じた。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
次年度の助成金は、主に、人件費(アルバイト料)、消耗品、および旅費に使用する計画である。「次年度使用額」は人件費および消耗品に充てる。
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Research Products
(3 results)