2015 Fiscal Year Research-status Report
水田周辺の土地利用情報に基づく環境診断:発生予察と天敵利用技術への応用
Project/Area Number |
15K14671
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
仲島 義貴 京都大学, 生態学研究センター, 研究員 (80322882)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
田渕 研 国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構, その他部局等, 研究員 (90531244)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 害虫管理 / 発生予察 / 天敵利用 / 景観生態学 |
Outline of Annual Research Achievements |
害虫の発生予察や天敵利用は、総合的害虫管理の要となる構成要素である。耕起や収穫など攪乱の大きい作物圃場において、圃場周辺からの害虫や天敵の移入個体数の推定は、高精度の防除要否判断や天敵の効率的利用に不可欠な情報である。本年度本課題では、ほぼ計画通り、水田での昆虫類のサンプリングを行うとともに、圃場周辺の害虫や天敵の潜在的発生源の面積などを以下の手順で定量化を行った。 空知・石狩・上川地方の24の有機水田で7月初めから9月初めにかけて、水田害虫であるイネドロオイムシ(以下、ドロオイ)についてすくい取りおよび見取による調査を行った。また、調査水田から半径1200 mにある景観要素を記録し、GISによりそれらの面積や長さを測定した。水田内のドロオイの卵、成虫とアカヒゲ成虫の個体数に及ぼす景観要素の影響を解析した結果、ドロオイ成虫では、森林が水田内のドロオイ成虫個体数に最も影響を与え、特に7月初旬から中旬にかけ、水田から半径400 m内に存在する森林を発生源として、水田に移入することが予備的な解析により明らかになった。この結果から、ドロオイでは周囲の防風林や森林を主な発生源として越冬成虫が水田に移入すると考えられた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
最終計画はおおむね順調にすすんだが、サンプルの整理と解析に予定よりも労力が必要であることがわかった。
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Strategy for Future Research Activity |
サンプル数、あるいは調査回数を予定より少なくして、解析や論文作成の労力を確保する必要がある。
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Causes of Carryover |
予定していた消耗品費と人件費の使用が大幅に少なくなったため、予定額より少ない使用となった。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
より多くの旅費の使用も見込まれるため、本年度分と合わせてすべての予算を執行する予定である。
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Research Products
(3 results)