2017 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
15K14673
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
渡部 敏裕 北海道大学, 農学研究院, 准教授 (60360939)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 有害元素 / 有用元素 / ナトリウム / アルミニウム |
Outline of Annual Research Achievements |
昨年度までの研究で、当初想定した有害元素による抗酸化ストレス活性の劇的な上昇が生育環境における他の様々なストレスに対する耐性を強化し、それが有害元素による生育促進現象として観察される、という仮説を支持する結果は得られていない。そこで、本年度の研究ではアルミニウム(Al)に関しては、好アルミニウム(Al)植物であるメラストーマを用いて、遺伝子発現応答からの解析を、ナトリウム(Na)に関しては好塩性植物のテンサイを用いて光合成とNaの関係の再検証を行った。 【アルミニウム】±Al処理を3日間施したメラストーマ植物体を用いてRNA-seqによるトランスクリプトーム解析を行った結果、メラストーマの葉ではAlによりリグニン合成系が抑制されており、酸化ストレスが低下することが示唆された。一方で、葉緑体に存在するフェリチンをコードすると推定される遺伝子の発現もAlにより葉で抑制されており、鉄による葉の酸化ストレスをAlが軽減していることが予想された。 【ナトリウム】個葉での光とNaの関係を調べるため、±Na処理を行ったテンサイ植物体の対となる葉の一方をアルミニウムホイルで覆い、短時間遮光した時のMDA(過酸化脂質、酸化ストレスの指標)を測定した。葉のMDAは光に晒すことにより増加し、遮光した葉ではNa処理の影響は受けなかった。一方、遮光しなかった葉ではNaによりMDAが低下したことから、Naによる葉の酸化ストレス軽減は光による酸化ストレスをNaが軽減するためであることが示された。また、テンサイと近縁なテーブルビート、フダンソウなどの複数種のNaに対する成育応答を比較した。その結果、Naに対して異なる成育応答を示す種を特定した。 【代謝成分と生育促進の関係】 本年度は測定準備に不具合が生じ、測定に至らなかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
アルミニウム、ナトリウム共に、光によるストレスとの関連性が示唆されたが、その詳細な機構解明についてまだ着手できていない。
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Strategy for Future Research Activity |
アルミニウム、ナトリウム共に、これら元素による生育促進に光合成が関わる事が示唆されたため、今後は光合成に対する影響について詳細に調べる予定である。また、代謝成分分析については依頼分析も検討して進めていきたい。
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Causes of Carryover |
GC-MSを用いた代謝産物解析を目的としていたが、機器の都合上、CE-MSを用いた解析に変更も視野に入れ条件を検討中で、サンプル測定には至らず残額が生じた。自身での測定に目処が立たない場合は、残額を利用しサンプル数を絞り依頼分析も検討する。
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[Journal Article] Dark conditions enhance aluminum tolerance in several rice cultivars via multiple modulations of membrane sterols2018
Author(s)
Tadao Wagatsuma, Eriko Maejima, Toshihiro Watanabe, Tomonobu Toyomasu, Masaharu Kuroda, Toshiya Muranaka, Kiyoshi Ohyama, Akifumi Ishikawa, Masami Usui, Khan Shahadat Hossain, Hayato Maruyama, Keitaro Tawaraya, Yuriko Kobayashi, Hiroyuki Koyama
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Journal Title
Journal of Experimental Botany
Volume: 69
Pages: 567-577
DOI
Peer Reviewed / Open Access / Int'l Joint Research
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