2017 Fiscal Year Annual Research Report
Characterization of phenolic acid decarboxylase (PAD) in black fungi and breeding in terms of awamori aging
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15K14700
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Research Institution | Kindai University |
Principal Investigator |
仲宗根 薫 近畿大学, 工学部, 教授 (80340834)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 泡盛 / 黒麹菌 / フェノール酸脱炭酸酵素 / PadC / 熟成 / バニリン / 泡盛酵母 / 乳酸菌 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成29年度の研究計画は、過去2年間の研究結果に基づき、2種の実用黒麹菌のゲノム情報に基づく育種技術の確立を試みることであった。 過去2年間の研究結果に基づき、2種の実用黒麹菌pad遺伝子発現に関与する転写因子群の探索を行うことを最終年度の主目的とした。米ぬかなどの誘導物質を用いた、2種の黒麹菌におけるpad遺伝子発現(RT-PCR等)結果に基づき、NGSによるRNseq解析を行ったところ、数十種類以上のDNA結合性タンパク質の変動が観察され、pad遺伝子発現に関与しうる転写因子候補群のリストアップを行った。次にこれら因子候補群の遺伝子破壊を最終目的として、相同組み換え・CRISPR技術により、種々の栄養要求性株(pyrG, niaD, sC 等)を構築した。これら栄養要求性株の構築によって、上記転写因子遺伝子群を候補とした遺伝子破壊が可能となる基盤が構築された。現在、これらの株を宿主として、遺伝子破壊株の構築が進行中である。またpad遺伝子cisエレメント上流域の解析も同時に行い、ゲルシフト・フットプリント等の解析を試みた。 次に新たに分離した植物性乳酸菌Lactobacillus plantarumの有効活用を視野に入れ、本菌株のpad遺伝子発現機構の解析を目的とし、padC(Pad酵素)及びpadR(PadC転写抑制因子)両遺伝子破壊株を構築した。黒麹菌と乳酸菌野生株、黒麹菌と乳酸菌遺伝子破壊株との混合培養(=発酵)における4-VG(バニリン前駆体)の変動を観察したところ、野生株との混合培養でのみ4-VG濃度の増加が観察され、発酵過程における4-VG増加の寄与を証明した。 3年間の研究成果によって「古酒熟成」を目標とする醸造技術の基盤が得られ、今後の展開として、共同研究先の酒造所等と協力しながら、新しい泡盛の試作を行い製品化に向けた研究にシフトする予定である。
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