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2016 Fiscal Year Research-status Report

デイゴの萎凋・枯死現象にデイゴヒメコバチの虫えい形成はどう関わっているのか

Research Project

Project/Area Number 15K14757
Research InstitutionKobe University

Principal Investigator

黒田 慶子  神戸大学, 農学研究科, 教授 (20353675)

Project Period (FY) 2015-04-01 – 2018-03-31
KeywordsFusarium / 病原性 / 通水阻害 / 軟腐症状 / 病徴再現 / デイゴヒメコバチ / 壊死
Outline of Annual Research Achievements

研究方法:健全なデイゴ苗木を用いて、胞子接種による病原性の確認を行った。特にF. solani 種複合体のstrain Aの関与に注目し、①水耕栽培下での根への接種と②ポット植えの主幹への付傷接種の2タイプ接種を行った。また、デイゴヒメコバチの虫えい付近から検出される菌の病原性をチェックした。
研究成果:接種実験では、自然被害木で認められる落葉、軟腐症状(細胞壊死)、萎凋などの病徴が同様に発現することを確認し、接種菌株の再分離に成功した。従って、被害木から高率で検出されたStrain Aには病原性があると推察された。strain AはDNA解析によりF. solani species complexのClade3に属することが判明した。一方、虫えいから検出されたF. equisetiはデイゴ組織に変色を起こさず病原性はなかった。以上の結果から、デイゴの衰退・枯死の原因がFusarium属菌である可能性が示された。Strain Aは主幹下部で分布範囲が広いことから、根や主幹基部からの感染が疑われる。沖縄本島では、距離が30km程度離れた琉球大学構内と平和祈念公園からDNAの塩基配列が全く同一の菌株が検出されたため、さらに距離の離れた石垣島の被害地における菌の分布と発病について比較検討する必要がある。また、菌の同定にはDNA解析による検討をさらに続ける必要がある。
デイゴ衰退枯死の主因が菌類であれば、被害軽減には殺菌剤の樹幹注入の効果が期待できる。デイゴヒメコバチは病原菌の媒介に関与しないことが判明したが、樹木の落葉等の誘引になるのかどうか、今後明らかにする必要がある。

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

3: Progress in research has been slightly delayed.

Reason

本研究により、デイゴの衰退・枯死現象の主因はデイゴヒメコバチではなく、Fusarium属菌である可能性が高いことが判明し、本研究のスタート時点で世界的に認められていた定説を覆す結果となった。H28年度の研究はFusarium属菌の特定strainの病原性確認に絞ったが、Fusarium属菌の分類は非常に複雑であり、DNA解析による分類学的位置の検討に時間を要した。これらの予想外の事情により、H28年中に実施予定であった「被害軽減に効果的な手法の検討」を進めることができなかった。

Strategy for Future Research Activity

発病・枯死メカニズムの検討と被害軽減のための対策
Fusarium属菌の感染が衰退・枯死の主因であるという前提で、以下の2点を検討する。
1)病原性を有する菌株(strain)を島外も含めて広域で探索し、遺伝的差違・同一性を明らかにする。2)殺菌剤注入を含めて、被害軽減のために効果的な手法を検討し、提案する。
なお、デイゴヒメコバチは衰退・枯死の主因ではないが、この寄生蜂が樹木に何らかの生理的異常を起こす可能性について、観察・検討を続ける。

Causes of Carryover

当初計画では、デイゴヒメコバチ(寄生蜂)とデイゴの衰退・枯死現象の関係を明らかにすることと、他の微生物の関与の可能性に注目していた。しかし本研究の途上で、枯死原因としてFusarium属菌が関わる可能性が高いことを発見し、デイゴヒメコバチの関与を否定するデータを得た。この事情から、H28年度は病原菌候補菌の接種実験およびDNA解析による種の同定という研究を新たに計画に追加して実施した。
衰退枯死の原因を確定させるためには、被害および病原菌の地理的分布の調査、菌の遺伝的同一性の検討が必要である。また、本研究の最終目的である被害軽減技術の提案のためには、虫害ではなく菌類病害への対策を検討する必要がある。

Expenditure Plan for Carryover Budget

1)病原菌の地理的分布の調査のための旅費
2)菌の分類学的位置の確定のためのDNA解析に要する実験消耗品
3)菌類病害への対策を検討するための人件費・薬品・旅費

  • Research Products

    (4 results)

All 2017 2016 Other

All Journal Article (2 results) (of which Peer Reviewed: 2 results,  Acknowledgement Compliant: 1 results) Presentation (1 results) Remarks (1 results)

  • [Journal Article] デイゴ枯死被害におけるFusarium solani species complexの病原性の検討2017

    • Author(s)
      木原健雄,高階空也,村上翼,平岡大輝,中馬いづみ,黒田慶子
    • Journal Title

      樹木医学研究

      Volume: 21 Pages: 未定

    • Peer Reviewed / Acknowledgement Compliant
  • [Journal Article] デイゴ(Erythrina variegata)の軟腐症状および枯死要因の病理解剖学的研究2016

    • Author(s)
      木原健雄,村上翼,中馬いづみ,亀山統一,黒田慶子
    • Journal Title

      樹木医学研究

      Volume: 20 Pages: 95-96

    • Peer Reviewed
  • [Presentation] デイゴ枯死被害におけるFusarium solani species complexの病原性の検討2016

    • Author(s)
      木原健雄・高階空也・村上翼・平岡大輝・中馬いづみ・黒田慶子
    • Organizer
      樹木医学会21回大会
    • Place of Presentation
      兵庫県神戸市、神戸大学
    • Year and Date
      2016-11-12 – 2016-11-13
  • [Remarks] 沖縄のデイゴの衰退と枯死 ・・・デイゴヒメコバチは枯死に関わっているのか?

    • URL

      http://www2.kobe-u.ac.jp/~kurodak/Deigo.html

URL: 

Published: 2018-01-16  

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