2015 Fiscal Year Research-status Report
水産複合脂質を膜素材とするリポソームの腸管透過及び取り込み性
Project/Area Number |
15K14798
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
高橋 是太郎 北海道大学, 水産科学研究科(研究院), 特任教授 (90125328)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | リポソーム / 水産複合脂質 / 水産リン脂質 / ホスファチジルコリン / ホスファチジルセリン / スルホキノボシルジアシルグリセロール |
Outline of Annual Research Achievements |
ホスファチジルコリン(PC)マルチラメラベシクル(MLV)、ホスファチジルセリン(PS)含有PC-MLV、スルホキノボシルジアシルグリセロール(SQDG)含有PC-MLV、PCスモールユニラメラベシクル(SUV)、PC/PS-SUV、PC/SQDG-SUVを膜剤とするリポソームを調製し、M細胞も発現した小腸細胞モデルにおける取込み性と透過性を評価した。その結果、PSおよびSQDGを含むリポソームは、MLV、SUVともそれらを含まないリポソームよりもM細胞においても、M細胞を発現していない小腸細胞モデルにおいても、高い取込み性を示した。一方、同モデルの透過においては、M細胞発現モデルにおいてのみ、PSおよびSQDGを含むリポソームが高い値を示した。このことはMLVもSUVも共通していた。 取込みおよび透過の作用機序について、リポソームの電気的チャージの計測および各種取込み阻害剤を用いて探りを入れた。その結果、PSまたはSQDGを含有するリポソームは負に帯電しており、このことがPSまたはSQDGを含有するリポソームが細胞によく取り込まれる理由の一つではないかと推察した。また、各種取込み阻害剤を用いた小腸上皮細胞モデルの細胞への透過試験から、PC-MLVはマクロピノサイポーシス経路、PC-SUVはマクロピノサイポーシス経路とクラスリン依存性エンドサイトーシスによって透過していることが示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
小腸上皮細胞モデルを用いた各種水産複合脂質含有リポソームの、小腸上皮細胞モデル単層膜細胞への取込みを、各種阻害剤を用いた実験で、平成27年度中に可及的に明らかにする予定であった。平成27年度中に大方の実験は終了したが、まだ追試で確認する必要があり、その意味では採用機序の解明が一部28年度まで持ち越しとなった。しかし全体としては概ね予定通り進行しており、順調である。
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Strategy for Future Research Activity |
小腸における各種水産複合脂質含有リポソームの取込みおよび透過の作用機序について、取込み阻害剤を用いた実験の追試を行い、平成27年度の結果を確認する。また原子間力顕微鏡を使って各種水産複合脂質含有リポソームの表明性状を調べ、表面性状の違いが小腸における取込みおよび透過に影響しているのか否かを調べる。
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