2015 Fiscal Year Research-status Report
口蹄疫ウイルスRNAの特異的翻訳抑制と耐病性家畜開発に向けたアプローチ
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15K14871
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Research Institution | Kagoshima University |
Principal Investigator |
小原 恭子 鹿児島大学, 農水産獣医学域獣医学系, 教授 (20225478)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | FMDV / IRES / PTB / 4E-BP1 / ITAF45 / CPK細胞 / MDBK細胞 / MDCK細胞 |
Outline of Annual Research Achievements |
当該年度は、まず口蹄疫ウイルス(Foot-and mouth disease virus ; FMDV)ゲノムRNAの非翻訳領域(5’UTR)内の40Sリボゾームの内部認識領域(Internal Ribosomal Entry Site; IRES)からの翻訳活性を各種動物由来細胞で比較解析を行った。HEK293(ヒト)、MDCK(イヌ)、MDBK(ウシ)、CPK(豚)細胞株でIRES活性を比較した結果、翻訳活性の強さはMDBK, MDCK, HEK293, CPK細胞の順であった。従って、FMDVの感染感受性との相関は見られなかった。また、MDCK, MDBK, CPK細胞を用いてIRES活性に関与する宿主因子をsiRNAを用いて探索した結果、poly-pyrimidine-tract binding protein (PTB), eukaryotic initiation factor 4E-binding protein 1 (4E-BP1)とIRES trans-acting factor (ITAF45)がFMDV-IRES活性に関与している事が明らかとなった。このうち、ITAF45はMDCK, MDBK, CPKの全ての細胞でFMDV-IRES活性に関与していたが、PTBと4E-BP1はMDBK、CPK細胞でのみFMDV-IRES活性に関与していた。以上の結果から、宿主因子により各種動物由来細胞での作用が異なり、PTBや4E-BP1はFMDVの感染感受性細胞でのみIRES活性に作用する事が明らかとなった。従って、PTBと4E-BP1はFMDV感染感受性の決定に寄与する可能性が示唆された。以上の結果は、BMC Veterinary Researchに報告した(12:66, 2016)。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
海椎茸(Renilla)ルシフェラーゼと蛍(Firefly)ルシフェラーゼ遺伝子を持つジシストロニックレポータープラスミドを用い、細胞mRNAが行うキャップ依存性翻訳はRenillaルシフェラーゼ活性(1st cistron)、FMDV-IRES活性はFireflyルシフェラーゼの活性(2nd cistron)で測定 した(ジシストロニックIRESベクター)。FireflyルシフェラーゼとRenillaルシフェラーゼの比(F/R)が小さくなるほど、よりFMDV-IRES特異的に翻訳が抑制されると考えられる。このアッセイ系を用いて解析をした結果、FMDVの感染域とIRES活性は相関しない事を明らかにした。しかしながら、siRNAを用いて翻訳に関与する宿主因子の作用を検討した結果、PTBや4E-BP1といった宿主因子がFMDVの感染感受性の決定に寄与する可能性も明らかとなった。これらの結果は、査読のある国際紙(BMC Veterinary Research)に投稿して受理されている。また、宿主因子作用の阻害剤(低分子化合物)の探索も開始した。以上の事から、研究はおおむね順調に進行している。
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Strategy for Future Research Activity |
1.今年度は、siRNAだけではなく、宿主因子の作用阻害剤も用いて、FMDV-IRES活性に関与する翻訳因子の活性を抑制する事を試みる。 2. FMDV-IRESを発現する細胞株を樹立し、阻害剤のスクリーニングに用いる。 3.FMDV抗病性動物作出への試みとして、FMDV-IRES活性に関与する宿主因子(4E-BP1等)を欠損するノックアウトマウスを用いたFMDV感染実験の共同研究の可能性を探索する。 4. 2で探索したFMDV-IRES活性の発現を抑制する阻害剤を用いて、共同研究によりFMDV感染への効果を評価可能か、検討を進める。 5. FMDV-IRES活性を動物体内で測定する方法を新たに確立する。具体的には、FMDV-IRESを発現するジシストロニックベクターのプラスミドDNAをハイドロダイナミック法でマウス肝臓内で発現する実験系を確立する。この系では、ルシフェラーゼ活性を測定する事によって動物体内でのFMDV-IRES活性の測定が可能となる。この実験系を用いて、4E-BP1, PTB等の宿主因子作用の阻害剤を投与し、IRES活性を生体内で特異的に阻害できる物質を探索する。生体内でのFMDV-IRES活性測定系が確立すれば、抗FMDV活性を持つ新たな薬剤をスクリーニングできる実験系として、応用研究への展開が期待される。
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[Journal Article] Efficacy of Recombinant Canine Distemper Virus Expressing Leishmania Antigen against Leishmania Challenge in Dogs.2015
Author(s)
Miura R, Kooriyama T, Yoneda M, Takenaka A, Doki M, Goto Y, Sanjoba C, Endo Y, Fujiyuki T, Sugai A, Tsukiyama-Kohara K, Matsumoto Y, Sato H, Kai C.
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Journal Title
PLoS Negl Trop Dis.
Volume: 9
Pages: e0003914
DOI
Peer Reviewed / Open Access / Acknowledgement Compliant
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[Journal Article] Genetic and serological surveillance for non-primate hepacivirus in horses in Japan.2015
Author(s)
Matsuu A, Hobo S, Ando K, Sanekata T, Sato F, Endo Y, Amaya T, Osaki T, Horie M, Masatani T, Ozawa M, Tsukiyama-Kohara K.
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Journal Title
Vet Microbiol.
Volume: 179
Pages: 219-227
DOI
Peer Reviewed / Acknowledgement Compliant
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