2016 Fiscal Year Research-status Report
The elucidation of pathogenic mechanisms of vascular leakage and bone marrow suppression in dengue virus mouse model
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15K14885
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Research Institution | National Institute of Infectious Diseases |
Principal Investigator |
黒須 剛 国立感染症研究所, ウイルス第一部, 主任研究官 (70432432)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | デング熱 / 出血熱 / 重症感染症 / デングウイルス / デング出血熱 / 感染モデル / 血漿漏出 / サイトカインストーム |
Outline of Annual Research Achievements |
デングウイルス感染症は血小板減少症と血漿漏出を特徴とし、重症化するとショック症状に陥る。デングウイルスの重症化には宿主因子が直接に関わると予想されている。本研究は重症化機序の解明を目的としている。これまでの研究でTNF-αが重症化に重要な役割を果たしていることが明らかである。デングウイルスを感染したマウスに抗TNF-α中和抗体を投与することで、急性致死から逃れられる。一方、感染後にはマウス血液中で代表的炎症性サイトカインであるIL-6の上昇も認められたが、抗IL-6中和抗体には防御能がない。 重症化と血漿漏出に重要な宿主因子の探索のため、抗TNF-α中和抗体または抗IL-6中和抗体投与したデングウイルス感染マウスから得られた肝臓から抽出したTotal RNAを用いてマイクロアレイによるトランスクリプト―ム解析を行った。肝臓では血漿漏出が顕著に認められ、臓器障害も起こす。抗体導入により宿主遺伝子群の変動に明らかな違いが認められ、重症化に関係する多数の候補因子を同定した。また様々なパスウェイが感染によって動いており、抗TNF-α中和抗体により変動が抑えられることが明らかになった。それぞれのパスウェイで重要な因子について、リアルタイムPCRによりこれら因子の変動を継時的に測定した。その結果以下のように病態が進行していると推察される。1)マクロファージ系の異常な活性化。2)TNF-αなどの炎症性サイトカインの高産生。3)血管内皮細胞における保護因子と増悪因子の攻防。4)病態末期におけるサイトカインストームによる多臓器不全。これら候補因子の中には血管内皮細胞に作用する因子も含まれていた。 候補因子のカイネティクスを解析してゆくことで、血漿漏出や重症化に係る真に重要な宿主因子が浮かび上がるであろう。また因子同定により、将来の重症化診断や重症化予防法の開発につながるであろう。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
各種抗体存在下でのマウス肝臓を標的にしたマイクロアレイ解析が成功したことから、重症化に関与する候補因子を得ることができた。またリアルタイムPCRにより、マイクロアレイの結果の正しさを確認している。継時的なサンプリングを行ったことで、重症化へと病態が進む状況が次第に明らかになってきている。研究はじめには予想がついていなかった病態進行の動態が見えてきた。また骨髄組織を用いたRNAseq解析も進んでいる。多くの候補因子からさらに絞っていく必要があるが、これらのことから、本研究の進行状況は順調に進展している。
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Strategy for Future Research Activity |
これまでの研究で、重症化に関与する宿主の候補因子の同定に成功し、変動する時期も明らかになってきている。今後はマウスでRNAiや各因子の阻害剤などを用いることで、候補因子が機能的に重要であることを確認する。またウイルスのどの部位、どのような特性によってその観察を得たのか、組換えタンパク質や培養細胞を用いた実験によりより詳細を明らかにする。
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Causes of Carryover |
補助事業を効率的に進めることができた結果、直接経費を節約することができた。尚且つ期待以上の成果を得ているため、当初の目的をより精緻に、高いレベルで達成するために平成29年度に追加の実験を実施する。これら一連の実験には繁殖しているノックアウトマウスを用いており、多少の時間がかかるため平成29年度へ持ち越し実施したい。 また論文発表も3つ以上予定しており、学会での発表を含めた経費に充てる。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
平成28年度に得た結果から、いくつもの重症化候補宿主因子同定している。これら候補因子の検出試薬や候補因子についてより詳細を解析するたにマウス実験・維持費に使用する。論文発表も3つ以上予定しており、学会での発表を含めた経費に充てる
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Research Products
(4 results)