2017 Fiscal Year Annual Research Report
Study on rapid and hypersensitive screening of chemical genotoxin using mammalian cells defective for DNA damage-response factors
Project/Area Number |
15K14953
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Research Institution | Gakushuin University |
Principal Investigator |
花岡 文雄 学習院大学, 理学部, 研究員 (50012670)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | ゲノム / DNA損傷 / 損傷乗り越え合成 / 遺伝毒性 / スクリーニング系 |
Outline of Annual Research Achievements |
化学物質による遺伝毒性の多くはゲノムDNAがアルキル化、酸化、付加体形成などの損傷塩基を鋳型として、これらの複製を行う損傷乗り越えDNA合成(translesion DNA synthesis: TLS)により生じると考えられている。一方で、TLSが働かなければ、複製フォークの崩壊によって細胞死が引き起こされる。本研究では、TLSポリメラーゼの中でも損傷塩基を鋳型として直接塩基を挿入する”インサーター”であるPolη、Polι、Polκを欠損したtriple knockout (TKO) マウス胚性繊維芽細胞が作用機序の異なる様々な遺伝毒性物質に特異的に感受性を示し、遺伝毒性の検出に有用であるか検討した。 その結果、TKO細胞は11種類中10種類の遺伝毒性物質で野生型(WT)細胞に比べて有意に高い感受性を示した。一方で、塩化アンモニウムなど6種類の毒性物質に対してTKO細胞はWT細胞と同程度の感受性を示した。本結果から、TKO細胞は新規遺伝毒性スクリーニング系に有用であると考えられる。 そこで次に代謝活性化を必要とする遺伝毒性物質であるシクロフォスファミド(CP)およびベンゾ[a]ピレン(BaP)に対する感受性を比較したところ、TKO細胞はCPに対してラット肝ミクロソーム画分(S9 mix)存在下でWT細胞と比べて3.3倍高い感受性を示し、S9 mix非存在下ではどちらの細胞も全く感受性を示さなかった。一方でBaPに対しては、WT細胞はCPの場合と同様にS9 mix存在下でのみ感受性を示したのに対し、TKO細胞はS9 mix存在下よりも非存在下でさらに高い感受性を示した。そこでどのTLSポリメラーゼの欠損が非代謝BaPに対する感受性に寄与しているか調べたところ、Polκ欠損およびPolι欠損細胞で非代謝BaPに対する高感受性が見られた。
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