2015 Fiscal Year Research-status Report
産地横断的及び縦断的品質評価の戦略;漢方生薬4品目について
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15K14969
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
佐々木 陽平 金沢大学, 薬学系, 准教授 (10366833)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 薬草栽培 / 国産生薬 / 生薬資源 / 品質評価 |
Outline of Annual Research Achievements |
生薬は天然品に由来するという性格上、同じ産地でも品質は毎年同一とは限らない。一方、生薬の安定した品質は医薬品原料として必須事項である。そこで「バラツキのあるロット内から同等の品質の生薬を選ぶことができれば」この品質の問題を克服できると考えた。本研究課題ではポイント制を導入することで品質のバラツキを産地間(横断的)、年次間(縦断的)で比較する戦略を検討する。これにより絶対的な「等級」分け数値の設定が可能になる。まず栽培化が進む重要漢方生薬4品目(当帰、芍薬、地黄、麻黄)を対象にすることを計画し、4品目の生産地に関する情報収集を実施した。 平成26年度の石川県の栽培地における収穫物に対して品質評価試験を実施し、日本薬局方の基準を満たすことを確認した。当帰に対しては主成分リグスチリド含量及び希エタノールエキス、芍薬に対してはペオニフロリン含量、地黄についてはカタルポール含量、希エタノールエキス含量、糖類含量、麻黄についてはエフェドリン含量を測定した。次いで平成27年秋には、4品目のうち、当帰及び地黄に関して一定区画の収穫物全ての個体重量を測定し、重量分布曲線を作成した。一方で芍薬及び麻黄については1個体としての単位が曖昧で、株あたりの平均収量として算出した。平成27年度の収穫物は平成28年の夏に生薬が仕上がり、品質評価試験が実施できる。この試験を毎年実施することによりポイント制についての値を蓄積していく。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
平成27年秋において、収穫時期である11月に雨天が多く作業の進展に遅延を生じた。その影響で収量の減少、品質の低下がやや見られた。測定用サンプルは必要分確保できているため、今後の進捗に影響はない。
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Strategy for Future Research Activity |
平成27年度の研究活動に付随して、石川県内の栽培地が拡大しつつある。生産者と連携をとり、データ収集を効率的に進めていく体制が整ったため、より効率的に研究が実施できる。 一方、本研究課題は大量のサンプルを対象に品質評価試験を実施することから、試験実施が律速となる。サンプルの選定や抽出、試験法の精査も行うことでこちらも効率化を計る。 平成28年度、平成29年度に仕上がる生薬4品目についても同様の試験法を実施し、縦断的な比較を実施する。同時に他の産地との比較も可能な限り実施する。
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