2015 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
15K15150
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Research Institution | Tokyo Medical and Dental University |
Principal Investigator |
樗木 俊聡 東京医科歯科大学, 難治疾患研究所, 教授 (50233200)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | CDP / cMoP / GMP / 樹状細胞 / 単球 / マクロファージ |
Outline of Annual Research Achievements |
ヒト臍帯血および骨髄細胞を用いて、樹状細胞だけを大量に生み出すヒト共通樹状細胞前駆細胞(CDP)、単球・マクロファージのみに分化するヒト共通単球前駆細胞(cMoP)の同定を試みた。同定にあたっては、特に、それら細胞を生み出す上流の細胞である顆粒球・単球前駆細胞(GMP)に着目した。このGMP分画を、細胞表面分子X及びY(未発表につき詳細は非公開)の発現パターンによって4分画に細分化したところ、DC分化能はX-Y-, X+Y-分画に保存されており、この中にヒトCDPが含まれている可能性が示唆された。さらに、X+Yint, X+Yhi分画についても詳細に検討したところ、X+Yint細胞は顆粒球ならびに単球への分化能を、X+Yhi分画は単球へ限局した分化能を各々示した。一方、どちらの分画も、DC及びリンパ球への分化能は示さなかった。 これらの結果は、従来のGMPが真のGMP以外の前駆細胞を含む雑多な細胞集団であり、細胞表面分子X, Yの発現パターンによって細分化することにより、正真正銘のGMP(X+Yint細胞)、ヒトcMoP(X+Yhi分画)の同定に成功したことを示していた。現在、超重症免疫不全マウス(BRGSマウス、NOGマウスなど)に、それら新たに同定した前駆細胞を移植して、in vivoでの分化能を確認中である。今後は、DC分化能が認められたX-Y-, X+Y-分画をさらに絞り込むことによってヒトCDPの同定を試みる予定である。また、単球由来のマクロファージは様々な炎症性疾患病態の構築、破骨細胞への分化を介して炎症性骨疾患に関与すること、腫瘍随伴マクロファージへの分化を介して腫瘍の増殖・進展を促すことなどが報告されているため、それら細胞の源という視点からcMoPの分化能を解析していく予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
当初の計画では、平成27年度にヒト共通樹状細胞前駆細胞(CDP)を、翌28年度に単球・マクロファージのみに分化するヒト共通単球前駆細胞(cMoP)の同定を進める予定であった。研究実績の概要で既に述べたように、ヒトGMPに着目して、細胞表面分子X及びYの発現パターンによって4分画に細分化したところ、DC分化能が検出される分画を見出したものの、CDPの同定には至らず、一方、思いがけずcMoPの形質を示す分画の同定に成功した。さらに、当初予定していなかった正真正銘のGMP分画の同定にも成功した。同分画は従来のGMPと言われる細胞集団の中の数%~10%程度であり、これまでのGMPがいかに雑多な細胞集団の混合物であるかという事実も明らかになった。現在、単球由来のマクロファージは多くの炎症性疾患や癌の病態構築に関与し積極的に病態の進展を促すと言われている。研究代表者が、ヒト単球の源であるヒトcMoPの同定に成功したことによって、論文発表前であるにも拘らず多くの製薬企業がcMoPを標的とした医薬品開発に興味を示しており、現時点で6社と面談、うち2社と CDA締結を終えている。今後、X,Yの分子名を開示した上で共同研究の可能性を話し合う予定にしている。これらの進展も当初は予想していなかったものである。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、新たに同定したヒトcMoPを標的として、癌や幾つかの炎症性疾患の治療を目指して、製薬企業と共同で医薬品開発が開始される可能性があるが、現時点でCDA締結後の面談を行っていないため、当該共同研究の実現に関しては確定していない。また、予備的なデータではあるが、破骨細胞の誘導能に関して、従来のヒト単球よりもヒトcMoPが格段に優れている結果を得ており、この結果の再現性を含め研究を推進することによって、破骨細胞の直接的前駆細胞としてのcMoPの重要性を確立することが急がれる。リウマチをはじめとする炎症性骨疾患における新たな治療標的としてのcMoPの重要性が高まる可能性がある。一方、ヒトCDP同定に関する報告が昨年米国の研究グループからされたが、研究代表者が着目している分画とは別の細胞集団であることが明らかになっている。今後、さらなる絞り込みにどのような細胞表面分子が必要なのか、我々の着目している細胞集団の中にも新たなヒトCDPが存在するのか、あるいは多分化能を持つより上流の前駆細胞なのか、慎重に見極める必要がある。
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Research Products
(8 results)
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[Journal Article] Cytosine-phosphorothionate- guanine oligodeoxynucleotides exacerbates hemophagocytosis by inducing tumor necrosis factor-α production in mice after bone marrow transplanation.2016
Author(s)
Liu J, Guo YM, Onai N, Ohyagi H, Hirokawa M, Takahashi N, Tagawa H, Ubukawa K, Kobayahi I, Tezuka H, Minamiya Y, Ohteki T, and Sawada K.
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Journal Title
Biol Blood Marrow Transplant 2015
Volume: 印刷中
Pages: 印刷中
DOI
Peer Reviewed / Open Access
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[Journal Article] Bacterial c-di-GMP affects hematopoietic stem/progenitors and their niches through STING.2015
Author(s)
Kobayashi H, Kobayashi CI, Nakamura-Ishizu A, Karigane D, Haeno H, Yamamoto KN, Sato T, Ohteki T, Hayakawa Y, Barber GN, Kurokawa M, Suda T, and Takubo K.
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Journal Title
Cell Reports
Volume: 111
Pages: 71-84
DOI
Peer Reviewed / Open Access
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