2015 Fiscal Year Research-status Report
精神科事前指示の活用による自己決定権を尊重した精神科医療のあり方に関する研究
Project/Area Number |
15K15259
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Research Institution | National Center of Neurology and Psychiatry |
Principal Investigator |
藤井 千代 国立研究開発法人国立精神・神経医療研究センター, 精神保健研究所社会復帰研究部, 部長 (00513178)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
岡田 幸之 東京医科歯科大学大学院, 精神行動医科学分野, 教授 (40282769)
安藤 久美子 国立研究開発法人国立精神・神経医療研究センター, 精神保健研究所司法精神医学研究部, 室長 (40510384)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 事前指示 / 患者の権利 / 非自発的治療 / 精神科治療 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、精神科事前指示(psychiatric advance directives; PADs)の臨床場面での有用性および作成による患者の自律性尊重に対するスタッフの認識の変化を検討することにより、精神科医療の質向上に資するPADsのあり方を明らかにすることを目的とする。研究協力病院である安積保養園あさかホスピタルに入院中の患者のうち、入院時の入院形態が医療保護入院または措置入院であった者が、概ね2週間以内の退院が見込まれる状態となった際に、研究の主旨について説明し、書面にて同意を得られた者を対象として、担当のPSWの援助によりPADsを作成した。平成27年度は、35名がPADsを作成した。代理人指示については家族が代理人となることを希望する人が大半であり、家族が複数いる場合は1人に限定せず複数を指名する傾向があった。家族以外では、デイケアスタッフ、訪問看護師が挙げられた。治療内容についてはスタッフに任せる傾向が認められ、本人の意思で治療を選択してもらうためには十分な心理教育が必要であった。PADsを作成することについては、自分の意思を尊重してもらえているという概ね肯定的な評価が得られている。PADs作成を援助したスタッフは、作成の際に本人の意思を引き出すことの難しさが指摘されている。今後事例を蓄積し、再入院の際のPADs使用状況を含め検討する予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
当初想定していたよりもPADs作成を希望する人が少なく、研究対象者が予定数に達していない。
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Strategy for Future Research Activity |
平成28年度は研究対象者のリクルート期間を延長し、目標数の100例を目指す。作成されたPADsの内容分析、再入院時の使用方法、スタッフの意識の変化について引き続き検討する。
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