2015 Fiscal Year Research-status Report
短鎖脂肪酸による宿主行動変化の全容とそのメカニズム
Project/Area Number |
15K15276
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
朝野 泰成 九州大学, 大学病院, 医員 (30572945)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
吉原 一文 九州大学, 大学病院, 助教 (20444854)
須藤 信行 九州大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (60304812)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 短鎖脂肪酸 / 行動解析 / アイソレーター / 腸内細菌 |
Outline of Annual Research Achievements |
近年、宿主に影響を及ぼす栄養成分のうち、食物繊維およびその代謝産物である短鎖脂肪酸(酢酸、プロピオン酸、酪酸)に注目が集まっている。短鎖脂肪酸は主に盲腸・大腸管腔内で生成されるが、その影響は消化管のみならず、他の臓器にも及ぶことが示唆されている。本研究では、短鎖脂肪酸が宿主の情動・行動特性に影響する可能性を考えた。短鎖脂肪酸の機能について調べた先行研究の多くがin vitroであり、in vivoの研究は少ない。その理由として、経口で投与した短鎖脂肪酸は速やかに吸収され、大腸まで到達しないことがあげられる。そこで、我々は各種短鎖脂肪酸をでんぷんにエステル結合させて、飼料内のでんぷんと置換した。この自作飼料の投与により大腸管腔内での短鎖脂肪酸の濃度上昇を可能にした。 研究計画に沿って無菌マウスに自作飼料を投与した。無菌マウスは短鎖脂肪酸生成に関与する腸内細菌が存在しないため、普通飼料を摂取する無菌マウスでは大腸管腔内に短鎖脂肪酸は検出されない。自作飼料を投与した結果、無菌マウスにおいても大腸管腔内に短鎖脂肪酸が検出された。しかし、自作飼料による飼育を長期間続けると成長不良を認めたため、行動特性の解析は行わなかった。後に、SPFマウスを用いて検証したところ、自作飼料を摂取したマウスでは胃腸障害が発生していることが判明した。そのため、飼料を改良し、新しく作成した飼料をSPFマウスを対象に投与したところ、成長不良や胃腸障害は認めなかった。このSPFマウスについて10週齢時点で行動特性の解析を行ったが、飼料の違いによる差は認めなかった。 飼料の調整に時間を要したが、改良は進んでいる。今後、無菌マウスを対象に実験を行い、大腸管腔内の短鎖脂肪酸濃度の差異が宿主に及ぼす影響を検証していく。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
自作飼料の改良に時間を要したが、この飼料により腸管管腔内の短鎖脂肪酸濃度を調整できることは改めて確認している。動物実験も予定通り進展している。
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Strategy for Future Research Activity |
研究計画に従い、改良した飼料を用いて、無菌マウスを対象に実験を進める。 物品の購入については、計画を事前に吟味し、無駄を省くよう努力する。
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Causes of Carryover |
研究目的を達成するために実験の継続が必要であるため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
特殊飼料の作成、実験動物および実験試薬の購入に充てる。
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Research Products
(4 results)