2015 Fiscal Year Research-status Report
血清NMRデータを用いた電気けいれん療法の効果予測
Project/Area Number |
15K15430
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
村井 俊哉 京都大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (30335286)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
諏訪 太朗 京都大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (10518153)
鈴木 崇生 京都大学, 医学(系)研究科(研究院), 研究員 (40328810) [Withdrawn]
平川 慶子 日本医科大学, 医学部, 助教 (30165162)
小池 薫 京都大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (10267164)
佐藤 格夫 京都大学, 医学(系)研究科(研究院), 講師 (30409205)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | ECT / 電気けいれん療法 / NMR / 核磁気共鳴分光法 / 核磁気共鳴 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、電気けいれん療法(ECT:1クール8~16回)を施行する患者の血清を用いて、我々が独自に開発した「NMR(nuclear magnetic resonance、核磁気共鳴)計測とパターン認識によるデータ解析」を行い、1)ECTの経過中に各症例の血清データは時系列でどのような傾向と推移を示すか、2)ECT前後の患者血清データとECT終了後の治療反応性との間に関連を見出すことは可能かを検討し、「ECTの治療効果予測、治療効果判定、予後予測」に役立つ新しい臨床検査法の開発を目指し行っている。平成27年度は当初の計画に沿って、以下のような実績を積んできた。 1 対象・検体採取 対象の募集、検体の採取に先立ってディープフリーザークライオポーターCS-80Cを購入した。被験者のリクルートが予定より遅れてはいるが計画自体は順調に進んでおり、これまでに、ECT適応となった4名のうつ病患者をリクルートした。血清採取は、いずれの被験者においても、1)ECT前、2)ECT5回目後、3)ECT終了後の計3回行っている。 2 精神症状評価 いずれの被験者にもハミルトンうつ病評価尺度(HAM-D)を用いて精神症状の評価を行った。評価は、3回の検体採取日(ECT前、ECT 5回目後、ECT終了後)に行っており、ECT終了から6ヶ月後にも4回目を行って予後について評価する予定である。 3 新規解析技術の開発 これまではフーリエ変換後のNMRに対するパターン認識解析を行っていたが、この解析方法では疾患群・治療効果に対する特徴抽出が困難であった。そのため、今回新たにNMR計測および信号処理手法の検討を行った。NMR信号の解析においては、サンプルの静的な局所磁場分布(chemical shift)を正確に知ることが重要であり、その考えに基づいて信号特性をさらに詳細に評価することで解析精度が飛躍的に向上することが判明した。なお、この新たな解析手法は現在論文投稿の準備段階にあり、今年度前期中に投稿予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
解析技術の開発は順調であり、より制度の高い解析が可能となっている。 平成27年度の京大病院におけるECTの適応となった症例が例年より少なかったこと、本人もしくは御家族の同意が不可能な症例があったこと、分担研究者に一時的な健康面の問題が生じたことなどより予定を下回る4症例の検体採取にとどまった。
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Strategy for Future Research Activity |
京大病院におけるECT症例の減少に特別の理由は無く一時的なものと考えられる。分担研究者の健康面の問題も平成27年度後半からは解消されており、検体採取に必要な手順は定まってきたので、本年度は疾患群15から20症例程度の検体採取を見込む。
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Causes of Carryover |
検体採取に遅れが生じており、予定していた数の解析が行えていないため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
本年度は15~20症例、一症例あたり3回の検体採取を予定しており、その解析を行う予定。
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