2015 Fiscal Year Research-status Report
診断と治療を可能とする磁気共鳴分子イメージング用分子プローブの開発研究
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15K15458
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Research Institution | Sapporo Medical University |
Principal Investigator |
藤井 博匡 札幌医科大学, 医療人育成センター, 教授 (70209013)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | ニトロキシド / theranostics / MRI |
Outline of Annual Research Achievements |
「従来型の分子プローブの欠点を克服した新規分子プローブの開発」研究を実施した。脳内レセプターをターゲットとした新規分子プローブの合成を目指したもので、ターゲットレセプターとしては脳組織に特異的に存在するアセチルコリンレセプターを取り上げ、リガンド分子として3-pyridyl-ether 化合物を合成し、MRI で検出しうる常磁性ラベル分子としてニトロキシド分子を用いた。リガンド分子とニトロキシド分子とが脳内で合体できるように、リガンド分子にはアジド基を、ニトロキシド分子にはアルキン基を付けたプロ-べを合成した。現在、この合成したプローブをマウスに投与し、脳内でクリック反応を起こさせて両分子が合体できるかどうかを検討している。 次に、「診断と治療を兼ねた新規分子プローブ開発と実証」研究を行った。特に平成27 年度は病態の診断と治療の機能を併せ待ったセラノスティック型分子プローブの開発研究に着手した。 病態モデルとして申請者の研究室で最も実績のある脳炎症モデルマウスを用い、脳炎症への治療と病態モニタリングが可能な分子プローブ合成研究を実施した。炎症性疾患に対し治療効果を有する薬剤としてプロピオン酸非ステロイド系消炎鎮痛剤のイブプロフェンおよびケトプロフェンを取り上げ、常磁性ラベル剤であるニトロキシド分子と抗炎症剤を結合させた新規分子プローブの合成を行った。現在、合成したプローブの特性を検討中であるが、想定したプローブが完成したことを確認できている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
「従来型の分子プローブの欠点を克服した新規分子プローブの開発」と「診断と治療を兼ねた新規分子プローブ開発と実証」研究とを行った。特に平成27 年度は病態の診断と治療の機能を併せ待ったセラノスティック型分子プローブの合成完成させることができ次年度動物を使っての実証試験を開始することが出来る段階に達していると思われる。以上から、研究はおおむね計画通りに進んでいると判断できる。
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Strategy for Future Research Activity |
平成27 年度中に合成されたセラノスティックス型分子プローブ(イブプロフェン-ニトロキシドプローブ)の「治療効果と診断効果の実証試験」を実施する。脳炎症モデルマウスに投与されたイブプロフェン-ニトロキシドプローブは脳内でイブプロフェンとニトロキシドとに分解するが、ニトロキシド分子は周りの酸化ストレス環境により造影効果が変化するのを利用してレドックス状態の変動を視覚化する。 一方、脳内のイブプロフェンの消炎作用はin vitro 系での検査を通じて検証する。両者の結果から治療と診断モニタリングとが両立できているかを検証する。イブプロフェン-ニトロキシドプローブがセラノスティックスとして脳内で機能することが実証できれば、その他の消炎症剤であるケトプロフェン-ニトロキシドプローブなどの合成にも挑戦する。
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Causes of Carryover |
平成27年度に「従来型の分子プローブの欠点を克服した新規分子プローブの開発研究」を実施したが、想定以上に合成時間を要した。そのため、謝金が計画以上に膨らみ、次年度交付金から30万円前倒しすることとなったが、その残額として次年度使用額8877円が生じた。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
次年度使用額として8877円が生じたが、平成28年度の物品費に加算して使用する計画である。
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Research Products
(3 results)