2015 Fiscal Year Research-status Report
新規人工ウイルスによるDDSとmicroRNA制御による膵癌治療の新展開
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15K15498
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
永井 英司 九州大学, 医学(系)研究科(研究院), 准教授 (30264021)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
白羽根 健吾 九州大学, 医学(系)研究科(研究院), 共同研究員 (10529803)
仲田 興平 九州大学, 大学病院, 特別教員 (30419569)
宮坂 義浩 九州大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (40507795)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 膵癌 / microRNA / 人工ウイルス / MiR-5100 / podocalyxin |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、治療のターゲットとして、癌細胞の生存・増殖・浸潤・化学療法抵抗性などに関与するmicroRNAを同定し、さらにmicroRNA修飾分子内包人工ウイルスを作製し膵癌治療への応用を目的とする。 そこで、治療候補となりうるmicroRNAの同定を行うために、膵癌の肝転移に関わるmicroRNAの同定を行った。ヌードマウスにヒト膵癌細胞株を同所移植を繰り返すことにより、膵癌高肝転移株を樹立した。ヒト膵癌細胞株SUIT-2を親株とする高肝転移株(MS:metastatic SUIT-2)において、遊走能及び浸潤能の増強を認め、接着能は逆に低下していた。また、Panc-1を親株とする高肝転移株(MP:metastatic Panc-1)において、遊走能は増強したが浸潤能は低下していた。接着能は有意な変化を認めなかった。網羅的解析の結果から、MSとMPにおいて共通して発現低下を認めたmiR-5100を同定した。このmiR-5100を強制導入したところ癌細胞の増殖能・遊走能・浸潤能の低下を認めた。さらにmiR-5100のbinding siteを持つ分子を検索し、複数の候補の中でpodocalyxin(PODXL)が標的分子の1つとなり得ることを示した。PODXLのノックダウンを行うと、miR-5100を強制導入した時と同様に膵癌細胞の遊走能・浸潤能が低下することを確認した。また、免疫組織化学染色を用いて解析を行ったところ、PODXLの発現と予後や肝転移に有意な相関があることがわかった。膵癌の肝転移に関わるmicroRNAとしてmiR-5100を、さらにその標的分子の1つとしてPODXLを同定した。MiR-5100やPODXLが、肝転移や予後に関わる因子として新たなマーカーや治療標的となる可能性を明らかにした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
膵癌の肝転移に関わるmicroRNAとしてmiR-5100を、さらにその標的分子の1つとしてPODXLを同定することができ、肝転移や予後に関わる因子として新たなマーカーや治療標的となる可能性を示した。
しかし、膵癌細胞特異的表面細胞マーカーに関しては、現在同定を行っている段階で、まだ人工ウイルス粒子の作成が行えていないため、③やや遅れているとした。
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Strategy for Future Research Activity |
引き続き、膵癌細胞特異的表面細胞マーカーを同定し、これを標的に癌細胞を特異的に認識する人工ウイルス粒子の作成を行う。さらに、MiR-5100以外にも、膵癌組織と正常膵組織・非浸潤膵腫瘍組織からマイクロダイセクションを行い、癌に特異的に発現変化のみられるmicroRNA の同定を行い、その標的microRNA の修飾分子(precursor/Anti-miR)を内包した人工ウイルス粒子を作成する。
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Causes of Carryover |
研究計画に若干遅れが生じており、まだ人工ウイルス粒子の作成が行えてないため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
試薬類、抗体、培養用試薬、培養用器具等
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Research Products
(13 results)
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[Presentation] 低酸素下膵星細胞による癌間質マトリックス・リモデリングは膵癌浸潤能を増強する2016
Author(s)
佐田政史, 大内田研宙, 阿部俊也, 遠藤翔, 肥川和寛, 奥村隆志, 千々岩芳朗, 吉田真樹, 堀岡宏平, 森山大樹, 宮坂義浩, 大塚隆生, 植木隆, 永井英司, 水元一博, 小田義直, 中村雅史
Organizer
第116回日本外科学会定期学術集会
Place of Presentation
大阪市
Year and Date
2016-04-16
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[Presentation] 膵癌腹膜播種形成を導く腹膜中皮細胞の新たな役割~防御から促進へ~2016
Author(s)
阿部俊也, 大内田研宙,遠藤翔, 肥川和寛, 千々岩芳朗, 吉田真樹, 奥村隆志, 堀岡宏平, 佐田政史, 大塚隆生, 植木隆, 永井英司, 水元一博, 中村雅史
Organizer
第116回日本外科学会定期学術集会
Place of Presentation
大阪市
Year and Date
2016-04-16
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[Presentation] 膵周囲脂肪組織は膵癌細胞の遊走・浸潤能を増強し,局所浸潤に関与する2016
Author(s)
奥村隆志, 大内田研宙, 武居晋、中山宏道、阿部俊也, 遠藤翔, 肥川和寛、千々岩芳朗, 吉田真樹, 鄭彪、佐田政史、堀岡宏平、森山大樹,三好圭、 宮坂義浩, 真鍋達也、大塚隆生, 植木隆, 永井英司, 水元一博, 中村雅史
Organizer
第116回日本外科学会定期学術集会
Place of Presentation
大阪市
Year and Date
2016-04-16
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[Presentation] Pancreatic Stellate Cells Lead and Promote the Local Invasion of Cancer Cells, by Physically Remodeling the Extracellula Matrix with Collagen Fiber Alignment in Pancreatic Cancer2015
Author(s)
Koikawa K, Ohuchida K, Sada M, Abe T, Endo S, Horioka K, Moriyama T, Miyasaka Y, Ohtsuka T, Ohuchida R, Ueki T, Nagai E, Mizumoto K, Nakamura M
Organizer
American Pancreatic Association 46th Annual Meeting
Place of Presentation
San Diego(USA)
Year and Date
2015-11-04 – 2015-11-07
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