2016 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
15K15518
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Research Institution | Wakayama Medical University |
Principal Investigator |
粉川 庸三 和歌山県立医科大学, 医学部, 講師 (30336888)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
吉増 達也 和歌山県立医科大学, 医学部, 准教授 (60316099)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 肺癌 / 胸腔鏡手術 / ヘリウムガス |
Outline of Annual Research Achievements |
胸腔鏡下肺葉切除術の対象となる患者は主に喫煙者であり高頻度に気腫肺を合併するため,分離肺換気時に患側肺の虚脱が悪く視野の確保に時間がかかることも多い.HELIOXは酸素を30%含有する吸入用のヘリウムガスである.ヘリウムは分子量が小さい故に窒素に比べて粘度が低く,閉塞性障害の改善をもたらすことが知られている.我々は,このHELIOXを胸腔鏡下肺葉切除術の術側肺の換気に利用すれば,術側肺の虚脱を促進し視野の改善を得ることができると考え研究を行っている.前臨床試験として動物実験を行い有効性を確認した後,臨床試験を開始した.現在までの登録例は20例.うち10例がHeliox吸入(H群)に,10例が通常の麻酔群(C群).H群では分離肺換気開始後から胸腔内操作開始までの間,術惻肺をHELIOXで換気した後に虚脱させた.虚脱および視野確保の程度はblind化した術中画像にて評価.また,手術時間,出血量,術後在院日数,ドレーン留置期間,総排液量についても比較した. 結果,画像評価では両群に有意差は認められなかった.比較的強い閉塞性障害(FEV1%<55%)を呈する症例が各群に1例ずつ含まれていた.この2例について,H群は良好であったが,C群では不良であった.なお,手術時間,出血量,術後在院日数,ドレーン留置期間,総排液量には両群間に差がなかった.現在のところ,HELIOX吸入による術側肺の虚脱の促進と視野の改善の傾向は認められるが,手術時間の短縮など明らかな臨床的有用性は確認されておらず,さらなる症例蓄積による検討が必要である.また,HELIOX吸入は閉塞性障害の強い症例においてのみ有用となる可能性も考えられる.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
臨床試験の開始が予定より遅れたが,その後の症例登録は順調であり,有効性を示唆する結果が得られている.
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Strategy for Future Research Activity |
引き続き症例の蓄積と結果の解析を続ける.
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Causes of Carryover |
倫理審査の承認手続きに時間を要したため.
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
臨床試験開始後の症例登録は順調である.このまま登録と解析を進める.
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Research Products
(1 results)