2016 Fiscal Year Research-status Report
転移先臓器を標的とした骨軟部腫瘍の新規治療法の開発
Project/Area Number |
15K15560
|
Research Institution | 医療法人徳洲会野崎徳洲会病院(附属研究所) |
Principal Investigator |
伊藤 和幸 医療法人徳洲会野崎徳洲会病院(附属研究所), 研究所, 所長 (20301806)
|
Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
|
Keywords | 肺転移 / 骨肉腫 / 肺線維化 / Cachexia |
Outline of Annual Research Achievements |
研究の概要:骨肉腫(OS)を始めとする骨軟部腫瘍の予後は、肺転移により最も大きく左右される。最近、転移成立過程における転移巣での生着、増殖の役割が大きくクローズアップされている。我々は、H25-26年度の挑戦的萌芽研究(課題番号25670661)を行う過程で、我々の研究室で樹立したマウス骨肉腫高肺転移株(LM8)を同種同所移植後、CTCを生きたままで培養することに世界で初めて成功、CTCを原発巣のLM8と比較しCTCの方が高いanti-anoikis活性を有し浮遊培養条件下でも増殖する事を報告した.さらに肺という原発巣と異なる環境下における腫瘍細胞の増殖にstiffnessの異なる条件下での3次元増殖にVEGFが重要な役割をする事を見いだした。本研究の目的は、転移先を標的とした新規抗転移治療の臨床応用への道筋を開くことである。 転移先の肺における、腫瘍の増殖並びに周囲の肺組織の硬さをマウス体内で経時的にモニターする目的で、新設された野崎徳洲会病院研究所(2017年7月開所)の動物実験施設に設置された日立製作所のLatheta LCT-200動物用CTを用いて、担がんマウスの肺、並びに全身をscanし、以下のことが明らかとなった。 1.高肺転移株LM8を移植したマウスでは、移植後3-4weeks以降より、肺部位のCT値の上昇が認められ、転移早期に、肺の線維化が体内でも進行していることが示唆された。 2.肉眼的に転移が認められない移植後2週間程度の早期より、皮下脂肪、並びに内臓脂肪が次第に低下、減少し、Cachexiaを定量的に観察することが可能となった。脂肪の減少は、原発巣の増大に加え、肺転移を生じたマウスでより顕著で認められた。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
研究代表者が、研究期間途中の2017年4月に、所属研究機関を、大阪府立成人病センター研究所から、新設された野崎徳洲会病院附属研究所(文部科学省認定)に異動することになり、所長として研究所の立ち上げ、実験機器の導入、実験動物を始めとする研究用の試薬、材料等の移動に多くの時間と労力を費やした。新研究所は2017年7月に開所し、動物実験施設で導入した動物用CTを用いて、前述した動物実験の結果を得ており、今後下記の様な研究の推進を計画している。又、高肺転移株と低肺転移株(親株)の次世代シークエンサーによる全ゲノム解析解析を、外注した企業研究所(北海道システムサイエンス社)で行っており、2017年5月頃には結果が報告されることになっており、そのための費用を持ち越している。
|
Strategy for Future Research Activity |
前述した様に、画像上肺転移が明らかとなる前より、肺の線維化と(CT値の上昇)と、全身の皮下、内臓脂肪の低下を観察している。肺の線維化に対する抑制薬は、最近既に臨床用されており、現在マウス投薬により、肺の線維化を抑制した際に転移がどうなるか検討する計画である。その準備として、抗がん剤によるマウス肺線維化モデル実験を行っている徳島大学呼吸器内科西岡教授の所に、線維化モデル実験を見学に行き、positive controlとして線維化を観察している。一方、Cachexiaはいわゆるがん性悪液質として以前から報告が有り、IL6, IL8, PTHrPを始めとする種々の体内における液成因子やメタボロームの異常が既に報告されている。今後、我々の骨肉腫自然肺転移Cachexiaモデルは、優れた動物実験モデルとして種々の原因精査や薬剤投与等による介入実験が出来ると大いに期待される。さらに、科研費で購入した、ニコン社のAZ-100実体顕微鏡システムを用いて、骨肉腫細胞がSpheroidを形成して増殖する様子を連続観察する実験系を立ち上げており、最近近赤外光を用いて、Spheroid内部の細胞の運動を観察できる事に成功し、今後詳細な観察を行う予定にしいる。
|
Causes of Carryover |
次年度使用額120万円余は、研究機関の異動等により、研究計画進行が当初予定より遅れており、高肺転移細胞株と、低肺転移細胞株との間の、全ゲノム解析比較実験が、研究計画終了年(本年)の2月にずれ込み、支払いが4月以降になるため、下記の使用計画にて、繰り越しを申請した。
|
Expenditure Plan for Carryover Budget |
高肺転移細胞株と、低肺転移細胞株との間の、全ゲノム解析比較実験を行うため、両細胞株より全ゲノムDNAを抽出精製した。この材料を用いた次世代Sequencerを用いた解析は、北海道システムサイエンス社にて行う。全ての結果が出て、解析終了時に、出入り業者(ヤシマ薬品)を介して、約120万円の支払いを行う計画としている。
|
-
[Journal Article] Trabectedin is a promising antitumour agent for synovial sarcoma.2016
Author(s)
Yasui H, Imura Y, Outani H, Hamada K, Nakai T, Yamada S, Takenaka S, Sasagawa S, Araki N, Itoh K, Myoui A, Yoshikawa H, Naka N.
-
Journal Title
J Chemother
Volume: 28(5)
Pages: 417-424
DOI
Peer Reviewed
-
-
-
-
-
-
-