2017 Fiscal Year Annual Research Report
Development of novel target therapy for metastatic organ of malignant soft tissue tumor
Project/Area Number |
15K15560
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Research Institution | 医療法人徳洲会野崎徳洲会病院(附属研究所) |
Principal Investigator |
伊藤 和幸 医療法人徳洲会野崎徳洲会病院(附属研究所), 研究所, 所長 (20301806)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 肺転移 / 肉腫 / スフェロイド |
Outline of Annual Research Achievements |
骨肉腫(OS)を始めとする骨軟部悪性腫瘍の予後は、肺転移により最も大きく左右される。最近、転移成立過程における転移巣での生着、Spheroid増殖の役割が大きくクローズアップされている。現在までの多くの研究の結果、転移の多段階の過程で、律速段階と考えられるのは、転移先の臓器における浸潤、増殖である。これは、転移初期よりCTC (Circulated Tumor Cells)が、患者血中に認められる事や、原発巣を標的とした薬剤が、しばしば転移巣の増殖に有効で無い事など臨床病理学的に明らかである。しかしながら、転移巣における腫瘍細胞のSpheroid増殖を模倣する実験系は今まで殆ど無く、原発巣での増殖との相違を研究する事が困難で有った。 申請者は、今年度新規に近赤外線を用いたマクロ顕微鏡(倍率16~20倍)を開発、Spheroidの周囲や深部までの動きを3次元的に経時的に連続観察記録する事が可能となった。近赤外光(波長800-900nm)は可視光に比べて組織透過性に優れ、今まで可視光では殆ど観察できなかったSpheroid内部の構造の経時的変化を透過光で、又Spheroid表面、周囲の微細な動きを反射光で、近赤外波長域でも画像を取得できる冷却型CCD cameraを用いて連続記録可能となり、以下の事が明らかになった。 1. Spheroidの周囲に多数のfilopodia(糸状突起)を認め、Rho family GTPaseの一つであるCdc42阻害薬(ML141 3-12 micro M)の前処置で減弱する。 2. Spheroid内部に経時的な構造変化を認め、Rho-ROCK阻害薬(Y-27632 10-20 micro M)の前処置で減弱する。 今後は、現在まで我々が報告した浸潤転移を抑制する薬剤に関して、Spheroidの動態に対する影響を検討し、臨床応用に結びつけたい。
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