2015 Fiscal Year Research-status Report
新規プロテインキナーゼ欠損がもたらす周産期障害の解明と克服
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15K15591
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
森岡 裕香 北海道大学, 遺伝子病制御研究所, 助教 (00360264)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 周産期障害 / 胎盤 / プロテインキナーゼ |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究課題ではPKX欠損マウスが呈する周産期障害の解明を目的としているが、PKX欠損マウスは離乳前に大部分が死亡し、実験に十分な数を確保することが難しい。初年度は、安定してPKX欠損マウスを供給するための大規模な繁殖体制を整えつつ、PKXが関わるシグナル伝達経路の解明を中心に研究を進め、以下のような成果を得た。 ①PKXと相互作用するタンパク質の同定:HaloTag融合PKXを293T細胞に強制発現させたサンプルを用いたプルダウンアッセイと、それに続く質量分析の結果、1種類のPKX結合タンパク質の同定に成功した。 ②PKXの機能解析に有用なin vitro培養系の確立:マウスES細胞 (ES) からトロフォブラスト細胞 (TB) を分化誘導する培養系において、分化の進行に伴ってPKX発現も誘導される事実を見出した。さらに、PKX欠損ESから分化誘導したTBを野生型と比較したところ、形態変化や分化マーカーの発現は同等であったが、増殖に著しい亢進が認められた。この培養系は、PKX欠損マウスで観察される胎盤肥大を反映し得ると考えられるため、今後、増殖亢進メカニズムの解明を含め、in vitroでのPKX機能解析に応用していく予定である。 ③マイクロアレイ解析による周産期障害関連因子の探索:PKX欠損胎盤と野生型胎盤における遺伝子発現をマイクロアレイで比較したところ、予想に反してあまり大幅な変動は認められず、分娩異常や胎盤肥大に直接関連しそうな因子は見出せなかった。PKXがキナーゼ遺伝子であることから、今後はリン酸化タンパク質の発現比較を試みる予定である。一方で、新生仔貧血との関わりが示唆される遺伝子の発現変動が見出されたため、in vivo解析に進める候補因子として詳細な検討を開始した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
十分な数のPKX欠損マウスを確保でき、計画通り平成28年度に大規模な動物実験を行う体制が整った。 PKX結合タンパク質の同定や周産期障害関連因子の探索など、平成27年度の研究計画は予定通りに遂行され、一定の成果を得た。
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Strategy for Future Research Activity |
これまでに確立したin vitro培養系を利用して、①PKX結合タンパク質の機能解析、②PKX欠損胎盤が肥大化するメカニズムの解明、を試みる。 また、PKX結合タンパク質や、マイクロアレイ解析から得た周産期障害関連候補因子について、in vivo機能解析を進める。
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