2015 Fiscal Year Research-status Report
卵巣癌における細胞骨格制御システムが織りなす腹膜播種の新規機序と包括的治療の構築
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15K15604
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
梶山 広明 名古屋大学, 医学(系)研究科(研究院), 准教授 (00345886)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 卵巣癌 / 腹膜播種 / 腹膜中皮細胞 / 細胞コミュニケーション / アクチンモーター蛋白 / 浸潤 |
Outline of Annual Research Achievements |
本課題は卵巣癌における包括的細胞骨格制御システムを解析し、再発卵巣癌のもつ癌-腹膜中皮相互EMTモデルの関連性を追求する実験系を構築する研究である。卵巣癌 (OC) の腹膜転移形成と二次転移の機序は、1) primary cancerからの腫瘍細胞の遊離, 2) 体腔内中皮細胞への接着 (adhesion), 3)中皮細胞間隙への潜り込み(intercalation), 4) 基底膜の分解, 5)基底膜下の細胞外基質を分解と移動, そして6)血管上皮細胞への潜り込み⇒血流・リンパ流へ進入などのプロセスから成り立つ。本年度は上記3), 4),5)に関連し、filopodiaの主要なタンパクの一つであるFascin及びアクチン繊維状を動くモータータンパクの一種であるMysin Xの分子機構的機序に関して研究を行った。研究成果の概要を以下に示す。1) 独立した6種のOC細胞株において高転移性とMyosin Xの発現に正の相関を認めた。2) Human mesothelial cellsを用いた中皮間隙intercalation assayおいて、Fascin / Myosin Xのダブルノックダウンがintercalationを有意に阻害し、中皮間隙への腫瘍のintercalationに重要な一役担うことが示された。3) Cortactin, CSPG4, およびHS1のノックダウンを用いた腫瘍運動の抑制系実験の結果、中皮細胞間隙へのintercalationは、細胞運動能とは非依存的に、Fascin, Myosin Xによる独立した制御系を介することが判明した。4) GFP-fascinを発現したOCが中皮細胞間隙へintercalationする際に、有意にfilopodiaを芽出することが観察された。5) Fascin強制発現OCによる、FITC-gelatin degradation assayの結果、対照比較で、約5倍のOCが、FITC-gelatinの分解能を有することが判明した。本年度の研究成果から、OCでも、Fascinが基底膜の分解に重要な役割を担っている事が示唆された。基底膜の分解におけるmyosin Xの役割の解明については、次年度の課題である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本課題の主要研究項目である、filopodiaの主要なタンパクの一つであるFascin及びアクチン繊維状を動くモータータンパクの一種であるMysin Xに関する機能実験研究をほぼ計画通りに達成することができた。
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Strategy for Future Research Activity |
卵巣癌の腹膜転移形成は1)原発腫瘍からの細胞の遊離⇒2)腹膜中皮細胞への接着⇒3)中皮細胞間隙への潜り込み⇒4)基底膜の分解⇒5)基底膜下の細胞外基質を分解と移動⇒6)血管上皮細胞への潜り込み⇒7)血流・リンパ流へ進入などのプロセスから成り立つ。本年度は主としてFascin / Myosin Xの観点から、上記2)、3)、 4)、 5)において検討を行った。次年度は、6)、7)を中心に研究を推進する。
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[Journal Article] PRIMA-1MET induces apoptosis through accumulation of intracellular reactive oxygen species irrespective of p53 status and chemo-sensitivity in epithelial ovarian cancer cells.2016
Author(s)
Yoshikawa N, Kajiyama H, Nakamura K, Utsumi F, Niimi K, Mitsui H, Sekiya R, Suzuki S, Shibata K, Callen D, Kikkawa F.
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Journal Title
Oncol Rep.
Volume: 35
Pages: 2543-52
DOI
Peer Reviewed / Open Access / Acknowledgement Compliant
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