2015 Fiscal Year Research-status Report
着床・初期胎盤形成における絨毛・子宮内膜幹細胞の維持機構とその破綻の病態の解明
Project/Area Number |
15K15608
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
加藤 聖子 九州大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (10253527)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 絨毛幹細胞 / 着床 / 子宮内膜幹細胞 / サイトカイン |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、着床不全・流産の病態を幹細胞維持機構と周囲微小環境(ニッチ)の破綻、 その結果としての細胞老化誘導という新しい視点でとらえ、着床・初期胎盤形成における絨毛・子宮内膜の幹細胞の果たす役割を解明することを目的とし、以下の研究計画をたてた。1)絨毛SP細胞の分離と特性の解析:ヒト絨毛外栄養膜細胞(EVT)より樹立された絨毛細胞株(HTR8-SVneo)を用いてSP細胞とnon-SP細胞を分離し、発現量の差がある遺伝子群や細胞増殖能・細胞分化・運動能・浸潤能を解析し、絨毛SP細胞が絨毛幹細胞の特性を持つかを検討する。2)ヒト子宮内膜細胞の幹細胞維持や細胞老化に関与するシグナルと着床との関連の解析:不妊治療中で着床の結果がわかっている患者の着床前に採取された子宮内膜の初代培養細胞を用いて、 SP細胞の出現率や幹細胞・EMT・細胞老化やSASP(Senescence-associated secretory phenotype)関連シグナルを解析し、着床率との関与を解析する。また、同時期に採取された血液のサイトカインやホルモン濃度を測定し、着床率との関与を検討する。 3)3次元培養による幹細胞と微小環境(ニッチ)の解析:コラーゲンビトリゲルを用いて1)で分離した絨毛SP細胞を上層に、2)で採取した着床成功例と不成功例の子宮内膜初代培養細胞を下層に培養し、絨毛細胞の増殖、浸潤度、それぞれの幹細胞マーカー・着床に関与する因子の発現、絨毛の浸潤におけるEMTや細胞老化の関与を解析する。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
絨毛SP細胞の分離と特性の解析 1) ヒト絨毛細胞株(HTR8-SVneo)より、SP細胞とnon-SP 細胞を分離し幹細胞の特性であるSP再出現率、継代コロニー形成能、長期増殖能、絨毛幹細胞マーカー(CDX2)発現を比較検討した。 2)マイクロアレイやメチレーションアレイを用いて、HTR8-SVneo-SP細胞とnon-SP細胞の間で発現に差がある遺伝子を同定した。 3)分化条件でSP細胞を培養し、栄養膜細胞に分化させ、2)で同定したSP細胞で発現が亢進している遺伝子群の中から、分化により発現が減少する幹細胞マーカーを同定した。 4)3)で同定された幹細胞マーカーsiRNA導入により発現抑制系を作製し、 SP出現率、増殖能、運動能、浸潤能とともにEMT関連シグナル分子(Vimentin,Twist,Snail,fibronectin等)のmRNA,蛋白の発現を解析した。
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Strategy for Future Research Activity |
ヒト子宮内膜細胞の幹細胞維持や細胞老化に関与するシグナルと着床との関連の解析 1)同意を得た不妊治療中の患者から、診療の一環として採取された着床前の子宮内膜を初代培養し、 SP細胞の出現率や我々の予備的実験で幹細胞に発現が亢進していたABCG2,ALDH1,IL-1R1,HER2の発現をmRNA,蛋白レベルで解析する。2)上記細胞を用いて細胞老化に関与するp21,p16,p53や細胞老化特異的βガラクトシダーゼ(SA-βgal)の発現、細胞と細胞培養液中、同時期に採取された血液を用いてSASP(Senescence-associated secretory phenotype)関連する炎症性サイトカイン(IL-6,IL-1)、 炎症性ケモカイン(IL-8,CXCL9)、MMPsの発現を解析する。以上の発現と着床率との関与を検討する。 3次元培養による幹細胞と微小環境(ニッチ)の解析1)コラーゲンビトリゲルを用いて分離した絨毛SP細胞を上層に、着床成功例と不成功例の子宮内膜初期培養細胞を下層に培養し、絨毛細胞の増殖、浸潤度を解析する2)上層の絨毛細胞に関しては前年度同定した幹細胞マーカーやEMT関連シグナル分子(Vimentin,Twist,Snail,fibronectin等)の発現や細胞老化シグナル(p21,p16,p53)を免疫染色法で解析するとともにSA-βgal染色を行う。3)下層の子宮内膜細胞に関しては、幹細胞シグナル(ABCG2,ALDH1,IL-1R1,HER2)の発現や細胞老化シグナル(p21,p16,p53)を免疫染色法で解析するとともにSA-βgal染色を行う。
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Causes of Carryover |
細胞株を用いた検討は順調に経過したが、ヒト絨毛組織、ヒト子宮内膜組織を用いた検討は、施設内倫理委員会の承認に時間を要し、解析に十分な検体数が集まっていない。そのため、解析を次年度に行うことに計画を変更した。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
細胞株を用いた解析に加え、ヒト絨毛・子宮内膜組織の検体を収集し、マイクロアレイや3次元培養の研究を行う予定である。
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Research Products
(11 results)
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[Journal Article] SNP55, a new functional polymorphism of MDM2-P2 promoter, contributes to allele-specific expression of MDM2 in endometrial cancers.2015
Author(s)
Okamoto K, Tsunematsu R, Tahira T, Sonoda K, Asanoma K, Yagi H, Yoneda T, Hayashi K, Wake N, Kato K
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Journal Title
BMC Med Genet (BMC medical genetics)
Volume: 16
Pages: 1-15
DOI
Peer Reviewed / Open Access
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[Journal Article] Regulation Mechanism of TWIST1 Transcription by BHLHE40 and BHLHE41 in Cancer Cells.2015
Author(s)
Asanoma K, Liu G, Yamane T, Miyanari Y, Takao T, Yagi H, Ohgami T, Ichinoe A, Sonoda K, Wake N, Kato
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Journal Title
Mol Cell Biol.
Volume: 35
Pages: 4096-4109
DOI
Peer Reviewed
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