2015 Fiscal Year Research-status Report
口腔癌リンパ節転移に対するリンパ行性化学療法併用放射線療法の開発
Project/Area Number |
15K15729
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
宮下 仁 東北大学, 歯学研究科(研究院), 助教 (70372323)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
赤松 妃呂子 (須藤妃呂子) 山形大学, 医学部, 医員 (10611981)
市川 真由美 山形大学, 医学部, 助教 (20466634)
森 士朗 東北大学, 大学病院, 講師 (80230069)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 口腔癌 / リンパ節転移 / 転移モデル |
Outline of Annual Research Achievements |
1.近年、ヒトと同等の大きさのリンパ節を有し、リンパ節転移の形成過程をタイムゼロからリアルタイムで解析できるリンパ節転移マウスモデルが開発された。本研究においては、このリンパ節転移モデルを用いて転移病巣の形成に伴うリンパ節内の微小環境の変化を解析し、リンパ節内の微小環境に基づいた所属リンパ節転移に対するリンパ行性の薬剤投与法を併用した新たな放射線・化学療法の開発を目的とする。本年度はリンパ節内の血管に注目し免疫病理組織学的に検討した。その結果リンパ節内に腫瘍が増殖するにつれてCD31陽性の腫瘍新生血管が増生するが、腫瘍新生血管の増生初期段階における血管はαSMA陰性の未熟な血管であり、血液循環系と連結していない可能性が示唆された。更にリンパ節は周囲からの血液供給には制限があることに加え、リンパ節内で増殖した腫瘍により既存の血管が閉塞すればリンパ節内への血液流入は抑制されることが示唆された。以上より、従来の血行性の抗がん剤の投与では、転移リンパ節に有効な投与量に達しない可能性が示唆された。 2.上記研究成果をThe 22nd International Conference on Oral and Maxillofacial Surgery (ICOMS) 2015において下記演題の通り発表を行った。“Emerging concept of oral cancer metastasis induced from analysis of a cancer metastasis model” 3.並行して口腔腫瘍における細胞増殖と分化度の関連性検索のため、Cyclooxygenase-2(COX2)とKi-67抗体を用いた免疫染色を行い、COX-2と腫瘍細胞の局所進展度及び細胞分化度との間に相関性が認められることを報告した。Exp Ther Med. 2016 (In press)
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
1.マウス系統維持および繁殖;本研究で使用する遺伝子組み換え近交系MXH10/Mo/lprマウスは、生後3 か月程度でリンパ腫脹が発現し、その大きさはヒトのリンパ節と同等の大きさ(短径約10mm)まで腫脹する。本モデルの系統は順調である 2. 腋窩リンパ節への転移誘導;小型動物用高周波超音波イメージング装置(最高周波数80MHz)で可視化しながら、腫瘍細胞(3×106cells/ml、60 μl/site)を各実験群と対照群のマウス腸骨下リンパ節に接種し、生体発光イメージング装置を用いて経時的にルシフェラーゼ活性を測定し、その推移と変化を確認することができた 3.前述の通り転移リンパ節の免疫組織学的解析により、リンパ節内に腫瘍が増殖するにつれてCD31陽性の腫瘍新生血管が増生するが、腫瘍新生血管の増生初期段階における血管はαSMA陰性の未熟な血管であり、血液循環系と連結していない可能性に加え、リンパ節への周囲からの血液供給には制限があること、リンパ節内で増殖した腫瘍によりリンパ節内の既存の血管が閉塞すれば、リンパ節内への血液流入は抑制されることが示唆された。 以上、上記1~3より従来の血行性の抗がん剤の投与では、転移リンパ節に有効な投与量に達しない可能性が示唆された。 しかしながら4.リンパ節およびリンパ管内の圧力測定と流体力学的解析、5.血管およびリンパ管造影高周波超音波画像の取得 およびリンパ節の体積測定、6. 造影マイクロCT によるリンパ節内血管三次元構築画像の解析については、まだ試行されておらず7.放射線照射;全身照射、1回照射、分割照射まで到達していないため遅延している。
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Strategy for Future Research Activity |
上記進捗度を踏まえ、今後テーマ4~7を下記の通り遂行していく予定である。 4.リンパ節およびリンパ管内の圧力測定と流体力学的解析;腫瘍細胞の接種日をDay0 とし、Day0、4、7、10、14 に、リンパ節内に圧力トランスデュ―サーと接続した注射針を刺入し、リンパ節腫脹マウスのリンパ節及びリンパ管内の圧力や流体力学的特性を圧力トランスデュ―サーと蛍光実体顕微鏡を用いた実時間圧力測定システムを用い解析する。 5.血管およびリンパ管造影高周波超音波画像の取得とリンパ節の体積測定;マウス尾静脈あるいは腸骨下リンパ節髄洞にナノ・マイクロバブルを注射し、高周波超音波イメージング装置(中心周波数40MHz)で、リンパ節の血管やリンパ管像を三次元的に抽出するとともにリンパ節の体積測定を行う。 6. 造影マイクロCT によるリンパ節内血管三次元構築画像の解析;腫瘍移植後0、4、7、10、14日に血管造影マイクロCTによる解析を行う。造影CT画像を基にリンパ節内の三次元血管構築画像を作成しリンパ節転移病巣の形成過程における腫瘍血管の特徴を把握する。 7.放射線照射方法;1)放射線照射は附属動物実験施設内に既に設置されている放射線照射装置を用いる。X 線照射システム;管電圧220KV、管電流14mA、フィルタCu0.5mm,(TITAN-225S) Al;0.5mm、線量率1mGy/分、field size 24cm。2)照射方法:全身照射の場合はケースに1群8 匹、部分照射の場合は鉛製のjig にて1匹ごとに手足固定の上、照射部位以外は遮蔽させて照射。①全身照射:両群で照射線量は2・4・6・8・10Gyで全身照射を施行。②1回照射:照射線量を10・20・30・40Gyと増加させて照射。③分割照射:分割回数を1・2・4・8 回とし2・4回の照射間隔は6時間、8回の場合は1日2 回照射とする。
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Causes of Carryover |
本年度実験計画が前述通り遅延しており、1.マウス系統維持および繁殖、2. 腋窩リンパ節への転移誘導、及び3.転移リンパ節の免疫組織学的検討については予定通りの進捗状況であった。 しかしながら4.リンパ節およびリンパ管内の圧力測定と流体力学的解析、5.血管およびリンパ管造影高周波超音波画像の取得およびリンパ節の体積測定、6. 造影マイクロCT によるリンパ節内血管三次元構築画像の解析については、まだ試行されておらず7.放射線照射;全身照射、1回照射、分割照射への到達には至らなかったため、次年度使用額が発生することになった。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
未使用額は次年度交付額と合わせて、各種消耗品、学会参加と成果発表、論文投稿料等に使用する予定である
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Research Products
(2 results)