2016 Fiscal Year Research-status Report
リウマチ併発歯周炎患者のJAK分子標的・抗菌療法と機能検証
Project/Area Number |
15K15764
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Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
吉江 弘正 新潟大学, 医歯学系, 教授 (20143787)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小林 哲夫 新潟大学, 医歯学総合病院, 准教授 (00215344)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 歯周炎 / 関節リウマチ / JAK分子標的 / 抗菌療法 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、インターロイキン6(IL-6)、腫瘍壊死因子(TNF)標的治療に低応答性の関節リウマチ(RA)患者および歯周炎患者を対象に、IL-6・TNFシグナル伝達因子のチロシンキナーゼ(JAK)を標的する治療と歯周抗菌治療を併用して、歯周状態およびRA活動性への改善効果を検索することである。本年度は2年目であり、インフォームド・コンセントが得られたJAK分子標的治療予定のRA患者2名(JAK+歯周抗菌-治療群)を登録して、RA検査、歯周検査、ならびに血液採取を行い、標的治療前後での各検査結果について比較・検証を行った。その結果、 1)RA検査結果では、標的治療後のRA活動度、疼痛・腫脹関節数、ならびにVisual Analogue Scaleは2名ともに減少しており、臨床的RA状態の改善が認められた。 2)血清検査結果では、標的治療後のリウマトイド因子、C反応性蛋白、マリックスメタロプロテアーゼ3、IL-6、TNF-alphaの濃度は2名ともに低下した。しかしながら、環状シトルリン化ペプチドに対する血清抗体価および血清アミロイドA濃度については標的治療前後での変化が認められなかった。 3)歯周検査結果では、標的治療後のプラークコントロール状態は同等であったが、歯肉炎指数、プロービング時の出血率、プロービング深さ、ならびに臨床的付着レベルは2名ともに改善を認めた。 以上の結果からJAK分子標的治療はRA状態のみでなく歯周組織の炎症も改善させる可能性が示唆された。しかしながら、今回の対象患者は歯周組織の炎症が軽度であったため、今後は様々な歯周炎症状態を呈した症例を追加して検討していく必要がある。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
(理由)当初の研究実施計画と比べてJAK分子標的治療予定の関節リウマチ患者の登録数が少なく、未だ2割程度であるため。JAK分子標的治療はTNF・IL-6受容体阻害薬の効果が十分に認められなかった場合に適応であり、適応症例が極めて少なかったことが原因として考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、研究協力病院に積極的に働きかけて、JAK標的治療が適応となる関節リウマチ患者の確保に努める必要がある。
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Causes of Carryover |
当初の研究実施計画と比べてJAK分子標的治療予定の関節リウマチ患者が少ないため、結果的に当初の費用額よりも少額で済んだため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
今回生じた次年度使用額分については、当初計画したJAK標的治療の関節リウマチ患者を追加することで対応することとする。これによって、サイトカインシグナル伝達のプロファイリングデータが増え、機能検証に関する統計解析の精度向上につながることが期待される。
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Research Products
(8 results)