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2015 Fiscal Year Research-status Report

歯周病と認知症の共通リスク因子としての口腔由来エンドトキシンの役割の解明

Research Project

Project/Area Number 15K15777
Research InstitutionTsurumi University

Principal Investigator

花田 信弘  鶴見大学, 歯学部, 教授 (70180916)

Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) 野村 義明  鶴見大学, 歯学部, 准教授 (90350587)
Project Period (FY) 2015-04-01 – 2018-03-31
Keywordsダウン症候群 / アミロイドβたんぱく質 / アルツハイマー病 / 染色体検査 / 認知症 / 歯周病
Outline of Annual Research Achievements

ダウン症候群(DS)は発達と知的の障害を伴う発生頻度の高い染色体異常であり、原因は21番染色体のtriplicationである。DSは40歳を過ぎると、アルツハイマー病(AD)に類似した神経症状が現れることがある(Arch Neurol.2011;68(11):1461-1466.)。ADはアミロイドβたんぱく質(Aβ)の蓄積を特徴とする認知症である。Aβが脳内に蓄積し、海馬の萎縮や神経伝達機能の低下が起こり認知症を発症すると考えられている。DSの脳内では、non-DSよりも20から30年早くAβが発現し、臨床的にも認知症は20から30%多く発症する。
本研究では、ダウン症候群(DS)30名 (27.97±9.9歳)、健常者38名(31.79±6.4歳)を調査した。DS群は小児科カルテより染色体検査で21trisomyであることを確認した。被験者は重篤な内部疾患のない歩行可能な者で非喫煙者を対象とした。問診票に基礎疾患の有無、常用薬の有無、1日の歯磨き回数、年1回以上の歯科定期健診の有無、ADLと意欲の評価(Barthel Index・Vitality Index)を家族が記載した。血液の採取は被験者自身の疾病・診断・治療に必要な検査を実施する際に増量して2ml採血した。採取した血液は遠心分離(4000回転15分)後、血清を-50℃フリーザーで保管した。解凍した血清でアミロイドβをELISA法(Human beta Amyloid(42)ELISA Kit Wako 96回用を使用)で測定した(委託先 LSIメディエンス)。
その結果、血清中のアミロイドβはDS群(n=30)で51.45±8.9 pg/ml コントロール群(n=38)は27.0±5.0 pg/ml有意に高かった。血清中のアミロイドβ量がDSにおいて高いことが認知症の発症に関わっている可能性を示した。

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.

Reason

本研究に先立って、鶴見大学及び東京小児療育病院倫理委員会の承認を得ることができた(許可番号:鶴見大学1213)。
本研究では予定通り、ダウン症候群(DS)30名 (27.97±9.9歳)、健常者38名(31.79±6.4歳)の調査が行われた。研究の趣旨については本人及び家族に口頭と文書で説明し、文書にて同意を得た。
DS群の80%に先天性心疾患、甲状腺機能障害、てんかん、先天性腸疾患、精神疾患、痛風、肝機能障害、肥満などの合併症が認められ、60%が常用薬を内服していた。
アミロイドβは21番染色体上に存在することから、21番染色体のtriplicationであるダウン症の人たちの血清中のアミロイドβ量は多いと予想していた。その結果、調査対象者30名のうち、一人の例外もなく血清中のアミロイドβ量が健常者よりも多かった。平均値では、アミロイドβはDS群(n=30)で51.45±8.9 pg/ml コントロール群(n=38)は27.0±5.0 pg/ml有意に高かった。血清中のアミロイドβ量がDSにおいて高いことが認知症の発症に関わっている可能性を示した。

Strategy for Future Research Activity

アミロイドβは21番染色体上に存在することから、21番染色体のtriplicationであるダウン症の人たちの血清中のアミロイドβ量は多いと予想していたが、調査対象者30名のうち、一人の例外もなく血清中のアミロイドβ量が健常者よりも多かった。
先行する研究で、慢性炎症や血清中のLPSの存在により、血清中のアミロイドβが脳内に沈着しやすくなることがわかっている。今後は、口腔の炎症状態や血中の炎症マーカーを測定し、慢性炎症や血清中のLPSあるいは口腔の診査結果とアミロイドβの脳内沈着の関係に関するエビデンスを確立する。炎症によって放出されたサイトカインが全身に循環すると、これらの炎症誘発分子はblood brain barrierを通過し、脳に直接アクセスする。その結果、脳内の免疫防御を行うミクログリア細胞が活性化し、神経のダメージをもたらすことも考えられる。ダウン症の人たちは血清中のアミロイドβ量が多いだけでなく、慢性炎症やエンドトキシン血症の原因となる歯周病や歯周病菌も多いとの報告もあるので、今後は、ダウン症者と健常者の歯周病や歯周病菌を測定して口腔保健とアルツハイマー病(AD)の発症との関係を明らかにしたい。

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Published: 2017-01-06  

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