2016 Fiscal Year Research-status Report
第三者の関与を伴う高度生殖医療に対応する看護の探求
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15K15810
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Research Institution | Kyoritsu Women's University |
Principal Investigator |
岸田 泰子 共立女子大学, 看護学部, 教授 (60294237)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
久保 恭子 (木村恭子) 東京医療保健大学, 看護学部, 教授 (10320798)
石井 久生 共立女子大学, 国際学部, 教授 (70272127)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 高度生殖医療 / 第三者の生殖機能 / 倫理的問題 / 看護教育 / リプロダクティブ・ヘルス / リプロダクティブ・ライツ |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、第三者が関与する、いわば倫理的問題を含む高度生殖医療におけるケアについて、日本とタイの看護職者や教育者の意見を集約し、看護職者が体験するジレンマを検証するとともに必要な支援を考察し、看護教育への指針を得ることを目的としている。2年目となる平成28年度は、具体的に次のことを実施した。 1.日本の看護職者(看護師、助産師)への意識調査の分析(予備調査としての質的分析):機縁法により第三者が関与する高度生殖医療に携わった経験のある5名の対象者へのインタビューデータの分析を行った。内容分析の結果、6つのカテゴリーが抽出された。看護職者らは[子どもの成長と家族関係の構築に対するネガティブ感情]、[母性を尊重する態度]、[女性の権利と子どもの福祉の間での葛藤]、[自分の思いとは切り離し、職業的倫理観を保つ]、[特殊なケースをケアすることにより生ずる思いやストレス]、[一人の女性としての不妊症への思い]を抱き、複雑な感情とストレスを抱えながら看護を実践していることが明らかになった。 2.高度生殖医療体験者へのウェブ調査実施:日本のウェブ調査会社に登録している会員を対象として、インターネットを利用した調査を実施した。対象者の条件を日本に在住する30歳から49歳の男女のうち不妊治療経験のある者(男性は、パートナーが不妊治療経験のある者を含む)とし、男女618名から回答を得た。男女の構成比は1:1である。質問内容は、海外での不妊治療経験、第三者の関与を伴う不妊治療やケアに対する意見などをたずねた。第三者の関与を伴うARTに対して倫理的問題はあるが、それを選択する患者は少数ではあるが存在する。偏見なく看護を提供することが重要であり、また不妊治療経験者の多くは精神的ケアを望んでいることがわかった。今後、さらに分析を深めていく。 3.タイにおける量的調査のための研究協力者との打ち合わせ実施
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
研究計画申請時に予定していたエフォート通りに研究時間を確保できなかったため。
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Strategy for Future Research Activity |
平成28年度に集積したデータの分析を深めて、調査項目の精選を行うと同時に、日本とタイ国の看護職者および看護学生の比較調査についての準備を担当者との打ち合わせを重ねながら進めていく。
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Causes of Carryover |
エフォート通りに研究活動に費やす時間を確保できず、研究打ち合わせのための旅費を使用することができなかったため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
平成29年度、研究打ち合わせのため研究協力者とともにタイ国に赴き、旅費として使用する予定。
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