2016 Fiscal Year Research-status Report
看護師のための夜勤時多重課題対策指針の開発-夜間の患者安全と生活の質保証に向けて
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15K15823
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Research Institution | National Center for Global Health and Medicine |
Principal Investigator |
亀岡 智美 国立研究開発法人国立国際医療研究センター, 国立看護大学校, 教授 (50323415)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
宮首 由美子 防衛医科大学校(医学教育部医学科進学課程及び専門課程、動物実験施設、共同利用研究, その他, 講師 (30736955) [Withdrawn]
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 夜勤 / 看護師 / 多重課題 |
Outline of Annual Research Achievements |
研究目的は、看護師が講じている夜勤時多重課題対策の解明、および、その成果に基づく「看護師のための夜勤時多重課題対策指針」の開発である。この目的達成に向け、平成27年度までに、郵送法による質問紙調査を行い、全国の病院65施設の看護師624名から収集したデータを質的帰納的に分析し、看護師が実際に講じている夜勤時多重課題対策39種類を解明した。また、平成28年度は、質的帰納的分析の洗練を図り、最終的に、看護師が講じている夜勤時多重課題対策は38種類に分類された。この38種類の対策とは、【夜勤時刻前からの出勤や休憩時間短縮により正規の勤務時間以外の時間を夜勤業務遂行に充てる】、【夜勤中の業務の進め方や行動計画を事前に決定しておく】、【夜勤中に生じる可能性のある問題や予定外業務を予測し、未然防止、早期発見、円滑な対応に必要な対策を講じる】等である。この結果は、看護師が、夜勤時のみに多重課題対策を講じているわけではなく、日勤時やそれ以外のときにも様々な対策を講じていることを示した。そこで、平成28年度は、このデータをさらに分析し、勤務帯別に看護師がどのような夜勤時多重課題対策を講じているのかを解明した。また、これら一連の成果に基づき、「看護師のための夜勤時多重課題対策指針」を検討した。さらに、このような研究活動によって得られた成果を3つの国内学会(日本看護教育学学会第26回学術集会、第47回日本看護学会(看護教育)、第36回日本看護科学学会学術集会)において発表した。加えて、日本看護教育学学会の学会誌である「看護教育学研究」第26巻1号に、平成27年度の成果として明らかになった看護師が実際に講じている夜勤時多重課題対策38種類を紹介する原著論文を投稿し、掲載された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
当初の目標は、平成27年度が「看護師が夜勤帯の多重課題遂行に向けて講じている対策の質的帰納的解明」、平成28年度が「看護師のための夜勤時多重課題対策指針の開発」であり、平成28年度末までにこれらの目標を達成できている。また、平成29年度は「学会発表および全国の病院の院内教育担当者を対象とする研修会を通した平成27年度・28年度の研究成果の普及」を目標としていたが、既に3学会において研究成果を発表した。さらに、中国四国地方の病院に所属する院内教育担当者を対象とする研修会において、研究代表者が講師を務め、研究成果を活用方法とともに紹介した。
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Strategy for Future Research Activity |
平成29年度は、平成28年度までの活動を通して検討してきた看護師のための夜勤時多重課題対策指針の洗練を図り、学会発表や専門誌への論文掲載を通した公表を目指す。また、病院の院内教育担当者を対象とする研修会等における研究成果を紹介し、普及と活用を進める。さらに、当初の計画にはなかったが、実際に夜勤に従事している看護師を対象とする研修会を開催し、研究成果の普及と活用の促進を図りたいと考えている。
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Causes of Carryover |
平成27年度、データ収集と分析が比較的順調に進み、研究補助者の雇用時間を短縮でき、それに伴う支出を抑えることができた。また、平成28年度は、それにより繰り越した研究費を分析の洗練や追加分析に伴う大量の質的データや結果の整理に必要な研究補助者の雇用、および、分析作業に必要な事務用品の購入、研究発表のための学会参加に必要な費用に充てる予定にしていた。しかし、分析が比較的円滑に進んだこと、および、研究発表を行った学会が関東(東京と千葉)であったことから、旅費や宿泊費の支出も抑えることができた。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
平成29年度は、平成28年度までの活動を通して検討してきた看護師のための夜勤時多重課題対策指針の洗練を図ることを計画しており、その一環として、病院の看護管理者や看護師から当事者の立場からの意見提供を求めたいと考えている。そのため、これに伴う旅費や謝金が必要である。また、学会発表のための参加費や旅費、専門誌への論文投稿に伴う英文の校閲費が必要である。さらに、研究成果の普及と活用の促進に向け、病院の院内教育担当者を対象とする研修会の開催、当初の計画にはなかった実際に夜勤に従事している看護師を対象とする研修会の開催を計画しており、打合せのための旅費や会議費、準備に要する人件費、物品費などが必要である。研究費はこれらに使用する計画である。
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Research Products
(4 results)