2016 Fiscal Year Research-status Report
高次脳機能障害者の退院後の適応を促進するための支援システムの構築
Project/Area Number |
15K15833
|
Research Institution | Ehime Prefectural University of Health Science |
Principal Investigator |
中西 純子 愛媛県立医療技術大学, 保健科学部, 教授(移行) (70207827)
|
Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
|
Keywords | 高次能機能障がい者 / 障害の認識 / チームアプローチ / 適応促進 |
Outline of Annual Research Achievements |
高次脳機能障害の診断があり回復期リハビリテーション病棟を退院した人、4名(うち2名は家族同席)に対し退院後の生活状況について半構造的面接を実施した。面接までの退院後日数の平均は74.25日、年齢は32歳~51歳、高次脳機能障害の症状は記憶障害3名、注意障害2名、失語症1名、遂行機能障害1名(重複あり)であった。 面接結果から当事者および家族の気がかりや心配、その影響因子について個別分析を行い次の途中経過を得た。4例は受傷前に比べると多少の課題はありつつも、いずれも家庭内での生活には支障はないと本人・家族とも認識していた。その背景には「障害の回復程度」に加え、全例に「家族や同居人、友人のサポート」「入院中からの退院後を想定した取り組み(外出・外泊訓練等)」があり、これに加えて、比較的症状の軽い3例については「障害による課題をカバーする本人の努力や工夫」「時間の経過による慣れ(学習の積み重ね)」がそれを可能にさせていると考えられた。一方、障害に対して本人の自覚及び自主的な対処行動が見られない1例の家族は、そのことへのいら立ちと焦りを表明していた。 全例とも退院後の心配の中心は「就労の可否」であった。いずれも現在の高次脳機能障害が仕事にどの程度、どんなふうに影響するのか自分自身不確かで、周囲にもうまく伝えられないという共通の課題を抱えていた。これに対して4例のうち2例は職場に組織的な支援のしくみや環境があったが、他の2例はサポートするしくみには繋がっていなかった。 以上のことから、高次脳機能障害の残存はあっても入院中からの退院に向けた準備と家族の理解・サポートによって退院後早期の家庭生活への適応促進は果たされていたものの、退院後2ヶ月目頃からは本人・家族とも職場復帰の心配があり、壮年期の患者の退院移行支援には再就労まで視野に入れた支援の枠組みが重要であることが改めて確認された。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
これまでに面接を実施できた対象者の数が少なくまた障害に偏りがあるため、支援システムを構築するためには、さらなるデータの追加が必要と考え、支援システムのモデル化に至っていない。
|
Strategy for Future Research Activity |
現在、引き続き、協力施設への対象者の紹介を依頼している。同時に、協力施設の追加を検討している。 9月~10月までにはデータ収集・分析を終えて平成27年度報告の先行文献を分析した結果と合わせて適応を促進する仮モデルの構築をはかり、専門家集団ならびに当事者家族などによる評価を受ける予定である。
|
Causes of Carryover |
研究の進行が遅れているために、予定していた執行ができていない。
|
Expenditure Plan for Carryover Budget |
追加データ収集のための旅費、予定している構築したモデルの評価を受けるための旅費・謝金等、学会発表旅費として執行したい。
|