2017 Fiscal Year Annual Research Report
Construction of a system to facilitate adaptation of peoples with higher brain dysfunction after discharge
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15K15833
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Research Institution | Ehime Prefectural University of Health Science |
Principal Investigator |
中西 純子 愛媛県立医療技術大学, 保健科学部, 教授 (70207827)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 高次脳機能障害 / 退院 / 社会復帰 / 移行期 / 支援 |
Outline of Annual Research Achievements |
回復期病棟でのリハビリーションを終え、社会復帰をめざす高次脳機能障がい者の退院後の適応を促進するための移行期の支援を検討した。平成29年度は退院して早期の段階にある高次脳機能障がい者への面接を継続し、計6名から次のような結果を得た。対象者の平均は44.2歳、高次脳機能障害の症状は記憶障害5名、注意障害4名、失語症1名、遂行機能障害1名(重複あり)であった。 本研究の対象者たちは退院後、受傷前に比べると元通りではないまでも、家族と暮らす生活においては当事者・家族ともいずれも支障はないと認識していた。しかし、今後、「直面する課題の難易度があがったときの不安」を抱えており、特に就労に関しては「復帰に見合う耐久力の不足と対応力の不安」「復帰までのプロセスの不確かさ」を感じていた。一方で、「復帰にはやる気持ちと回復状態への過信・楽観視によるオーバーワーク」も生じていた。そして、オーバーワークや身体的な後遺症、基礎疾患により生じた体調不良や家族内の役割が十分果たせないことが「思い通りに回復しないことへの不安と落胆」を呼び起こしていた。また、退院後2~3ヶ月の時期ではむしろ「生活圏が拡大しないことによる相互交流の縮小」が生じていた。「他者との障害像の共有の困難」は全例に共通していた。 これらの課題に対して、有効であった当事者自身の対処や周囲からの支援の実際、当事者・家族からの要望、さらに先行研究で報告されている支援の実際を踏まえ、移行期の支援について検討した。結果、就労を含め退院後の不安に対しては、個々の障害特性から起こりうる問題を想定し対策をたてておくこと、複数回の外出・外泊等のトライアルを段階的に積み重ねておくこと、困り事は経過を追って生じてくる可能性があることから退院後の相談窓口を明確にしておくこと、就労にあたっては専門職からの職場への橋渡しが強く求められていること等が明らかとなった。
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