2015 Fiscal Year Research-status Report
養護教諭による学校教職員のメンタルヘルス支援モデル開発―承認しあう組織風土の創造
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15K15931
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Research Institution | Seirei Christopher University |
Principal Investigator |
高橋 佐和子 聖隷クリストファー大学, 看護学部, 助教 (80584987)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
伊藤 純子 聖隷クリストファー大学, 看護学部, 助教 (10436959)
佐藤 道子 岐阜聖徳学園大学, 看護学部, 准教授 (60410510)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | メンタルヘルス / 教職員 / 養護教諭 / 労働安全衛生 / 組織風土 / 承認 |
Outline of Annual Research Achievements |
メンタルヘルス不調により休職する教職員の増加とその対応策の検討は教育現場の喫緊の課題である。モンスターペアレンツと称される権利意識の高い保護者への対応、学級崩壊や児童の不登校・虐待事例に関わる教職員の心理的負担は重い。だが、教員の労働安全衛生体制の整備や人材確保が追いついていないのが現状である。そこで、本研究では、各校に配置されている養護教諭の役割の見直しと力量向上を促し、「承認し合う風土の醸成」を通じて、教職員のメンタルヘルス支援に積極的に関与し機能させるための校内モデルの開発を目的とした。 本年度は、管理者用プログラム担当、一般教員用プログラム担当、実践定着させるシステム作り担当がそれぞれリーダーシップをとりつつ、収集した情報をもとに会議を行い、モデル開発に取り組んだ。 一般教員用プログラムの開発および実践・定着させるシステムとして活用する教材を試作し、平成28年1月、パイロットスタディを行った。対象は一般企業の従業員であり、教員ではなかったものの、顧客対応や従業員同士の人間関係におけるストレスなど類似した問題点があり、また、平成27年度12月の労働安全衛生法の改正に伴うストレスチェック制度の導入準備が始まっていたこともあり、現場のニーズは高かった。このパイロットスタディの際、プログラムの内容および教材(ほめ付箋)に関するフィードバックを得ることができた。現在、このデータを分析しているところであるが、プログラムおよび教材、モデル全体について多くの示唆を得ることができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究期間3年間のうち、初年度である平成27年度は、経験学習モデルを参考に、「承認」の技術を向上・定着させるための、管理職者用プログラム、一般教員用プログラム、研修成果を現場で実践・定着させるシステムを開発する計画であった。 本年度、一般教員用プログラムについては、学会および文献等から収集した情報と研究組織による会議をもとに、おおよそ完成した。試作したプログラムは、学校ではないが、一般企業の社員を対象に実施したところである。実践・定着させるシステムとして構想していたほめ付箋も試作したため、先のパイロットスタディを行った際に配布し、活用を依頼したところ、企業の社員からフィードバックを得ることができた。現在、ここで得たプログラムとほめ付箋に関するフィードバックの分析をしているところである。 当初は、学校を対象に年3回の研修プログラムを考えていたが、これは非常に困難であることが判明した。そこで、職員を集めての研修回数は年1回とし、2回分の研修内容を個人で実施できるようなワークブックを作成する方向にシフトする。 また、平成28年度に実施予定の学校教員対象のパイロットスタディへの協力校を得ることができた。
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Strategy for Future Research Activity |
平成28年度は、組織風土測定尺度およびカークパトリックの4段階評価をもとに、プログラムの評価指標の作成、パイロットスタディ、養護教諭へのコンサルテーションの検討を行う計画である。 現在分析中の一般企業で得たフィードバックから、一般教員向けプログラムや教材(ほめ付箋)の修正を行う。また、来年度実施予定の学校教員対象のパイロットスタディに向け、管理職者用プログラムと一般教員用ワークブック、プログラム評価指標の作成も同時に進めることで研究課題の遂行をしたいと考える。これらに加え、研究協力校のリクルートおよび、ここまでの研究成果の公表等もしていく予定である。
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Causes of Carryover |
年度末に、研究分担者3名で、連携研究者のもとに今後の研究の方向性について専門的知識の供与を受けに行く予定であったが、日程を調整できず、行くことができなかったため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
基本的には、計画通りの予算執行をするが、一部計画を変更し、ワークブックを作成することとした。次年度使用額は、この費用に充てる予定である。
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