2016 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
15K16039
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Research Institution | Nara Institute of Science and Technology |
Principal Investigator |
河合 紀彦 奈良先端科学技術大学院大学, 情報科学研究科, 助教 (30610670)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 隠消現実感 / 拡張現実感 / 物体除去 / 複合現実感 / 画像修復 |
Outline of Annual Research Achievements |
多様な環境に適応した隠消現実感を実現するため、平成28年度は以下の4項目に取り組んだ。 1.背景画像の幾何学的な補正:昨年度に引き続き、背景画像を除去対象物体周辺のテクスチャの動きに応じてリアルタイムに変形し、変形した背景画像を対象物体上に重畳することで、背景形状が未知でかつ平面でない環境に対応した隠消現実感実現手法を開発した。今年度は、より多様な環境への適応度を向上させるため、テクスチャの動きを計測する特徴点抽出およびパラメータ設定の方法の見直しを行った。また、評価のために屋内および屋外の新たな環境で実験を行い、提案手法の有効性および限界を示した。 2.鏡面反射の再現:昨年度に引き続き、様々な視点から除去対象物およびその周辺を写した画像群から照明位置および強度を推定し、それを除去対象物体上に重畳する背景画像に反映させることで、鏡面反射が存在する環境においても高品質な背景画像を提示できる隠消現実感実現手法を開発した。今年度は、実装方法を見直すことで、処理速度を向上させ、実用に耐えうる処理速度を実現した。また、定性的かつ定量的な評価を行うことで、提案手法の有効性および限界を示した。 3.除去対象物体背景の形状修復:除去対象物体の背景の任意の視点から見えを再現するためには、背景の詳細な形状が必要である。このため、除去対象物体の周辺の形状を事例として用い、周辺と調和する除去対象の背景の形状を修復する手法の開発に取り組んだ。 4.テクスチャ修復:テクスチャ修復の一環として、事例に基づく画風変換手法を開発した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
上記の研究実績の概要の各項目のうち、1.に関する論文が論文誌IEEE Transactions on Visualization and Computer Graphicsに採択され、また昨年度に当該内容を複合現実感研究委員会で発表した論文に関しても平成27年度SIG-MR賞を受賞した。2.に関する論文が日本バーチャルリアリティ学会論文誌に採択された。3.に関しては、現在手法の開発に取り組み、成果を出しつつあり、今後、国際会議・論文誌に投稿予定である。4.に関する論文が論文誌Journal of Information Processingに採択された。 以上より、研究が着実に進捗し、その成果発表を行っていることから、おおむね順調に進展していると考える。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、上記の研究実績の概要の項目3で述べた、除去対象物体の背景形状の違和感のない修復手法の開発を行うとともに、それを応用したテクスチャと形状の同時修復手法の開発に取り組み、提案手法を定性的、定量的に評価する予定である。 また、その成果を国内、国際会議および論文誌に投稿する予定である。
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Causes of Carryover |
研究成果を投稿した論文誌の掲載料が無料であったため、当初の予定より経費がかからなかった。また、今年度の研究成果を次年度に国際会議および論文誌で発表するにあたって、当初の予定より費用が大きくなりそうであるため、当該年度での経費の利用を控えた。これらにより、次年度使用額が生じた。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
成果発表のため当初の予定よりも多い旅費、学会参加費を計上する予定である。また、当初予定していた通りの、計算機の消耗品、論文の投稿料にも使用する予定である。
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Research Products
(6 results)