2017 Fiscal Year Annual Research Report
Establishment of ozone risk assessment model for leaf CO2 assimilation of woody plant
Project/Area Number |
15K16136
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Research Institution | Tokyo University of Agriculture and Technology |
Principal Investigator |
渡辺 誠 東京農工大学, (連合)農学研究科(研究院), 特任准教授 (50612256)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | オゾン / リスク評価 / 樹木 / CO2固定 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では現在最も深刻な大気汚染物質である対流圏オゾンが樹木のCO2固定に与える影響に関するプロセスベースのモデリングを目的としている。3年目である平成29年度は、前年度より継続して行っているオゾン暴露実験(対象樹種ブナ、コナラ、シラカシ、スダジイおよびコジイ)において、光合成速度などの葉におけるガス交換速度や個体乾物成長などの計測をおこなった。10月に行った葉面積および器官別の乾燥重量の測定より、ブナとスダジイにおいて乾物成長の低下が認められた。オゾン感受性の樹種間差異を決定する要因を検討するために、葉の形態的特性とVcmax(最大カルボキシル化速度、葉緑体における生化学的な光合成活性を表すパラメーター)のオゾンによる低下率の関係を調査したところ、葉面積に対する葉肉細胞の面積(Smes)とVcmaxのオゾンによる低下率の間に高い正の相関が認められ、Smesの高い樹種において、光合成におけるオゾン感受性が高いことが明らかになった。さらに光合成におけるオゾン感受性が高かったブナにおいて、葉内のCO2拡散過程に対するオゾンの影響を調査したところ、細胞間隙から葉緑体までのCO2の移動のしやすさを表すパラメーターである葉肉コンダクタンスがオゾンによって低下することを発見した。本研究期間全体を通じて、葉におけるオゾン吸収、吸収したオゾンと葉内光合成活性の低下、葉群内の葉におけるオゾン感受性の違い、地上部と地下部の乾物分配と暴露したオゾンとの関係に関するモデル式を得ることができた。2年目にオゾン暴露設備の故障があり研究が滞った時期があったため、これらを用いたモデルシミュレーションを行うには至らなかったが、今後それらについても取り組む予定である。 これらの成果の一部は国内および国際学会で発表するとともに、国際学術誌に原著論文として投稿した。
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