2017 Fiscal Year Research-status Report
育児ネットワークの定住促進効果に関する実証研究-子育て世帯の居住地選択の要因分析
Project/Area Number |
15K16178
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Research Institution | Osaka Sangyo University |
Principal Investigator |
菊地 真理 大阪産業大学, 経済学部, 准教授 (10616585)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 育児ネットワーク / 子育て世帯 / 居住地選択 / 少子化対策 / 子育て支援 |
Outline of Annual Research Achievements |
少子高齢化と人口減少が進むなか、若年層や子育て世帯を呼び込むため多くの自治体が子育てサービスの充実を政策課題として掲げているが、子育て支援政策が具体的にどのような効果があるのかについてはあまり検証されていない。本研究は、子育てサービスの充実が育児ネットワークを通じて子育て世帯の定住意思を促進させるかどうかを、子育て世帯の社会増減が対照的な複数の自治体を比較分析することにより明らかにするものである。現在までに、子育て世帯数の増減が対照的な複数の自治体居住者を対象としたアンケート調査とインタビュー調査、行政における子育て支援担当部署およびサービス提供主体となる子育て支援施設を対象にヒアリング調査を行ってきた。 2017年度は、子育て世帯の社会増に資する子育てサービスについて提言を行うため、研究協力者とともに国際シンポジウムを企画・開催して、東アジア地域において先進的な子育て支援政策を行っている台湾台北市の取り組みとその効果を日本のそれと対比させ検討した。 2010年に合計特殊出生率が世界最低水準となった台湾(TFR=0.850)は、少子化への対応が喫緊の政策課題となっている。とりわけ台北市では行政を中心として子育て支援の全面的な見直しが早急に図られ、短期間で子育て世帯とりわけ女性に対し手厚く柔軟なサービス提供を行っている。現在までに得られた知見では、地方分権型の子育て支援政策が台湾社会の自治体間で日本以上に子育て世帯の獲得競争を激化させている可能性があることを見出した。一方の日本では、地方創生のまちづくり政策が進む自治体をフィールドに、子ども・子育て世帯のみをターゲットにした移住誘導の子育て支援の課題を明らかにした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
2017年度は国際シンポジウムを企画してこれまでの研究成果を公表した。同時にデータを分析するための研究会を開催し、論文執筆に向けて検討を重ねていたが、完成に至らなかったため。
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Strategy for Future Research Activity |
次年度は育児休業を取得するため研究期間を中断する(9月から取得予定)。現時点での推進計画としては、中断前までに国内学会報告を2件行い、研究再開後に論文として学術誌に投稿する予定である。
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Causes of Carryover |
2017年7月に開催した国際シンポジウムの報告書を製本出版する予定であったが、翻訳・校正が間に合わず次年度にずれこんでいるため。
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