2015 Fiscal Year Research-status Report
高極性メイラード反応生成物に着目した一斉分析法の開発と食品の安全性評価手法の確立
Project/Area Number |
15K16195
|
Research Institution | Nigata University of Phermacy and Applied Life Sciences |
Principal Investigator |
能見 祐理 新潟薬科大学, 応用生物科学部, 助教 (20614887)
|
Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
|
Keywords | メイラード反応 / LC-MS/MS |
Outline of Annual Research Achievements |
カルボニル基とアミノ基との間の非酵素的褐変反応をメイラード反応と呼ばれている。食品はカルボニルおよびアミノ化合物を豊富に含むため、食品の調理および貯蔵の過程でこの反応が起こることが知られているが、非常に複雑な反応であるため、どのような反応生成物がどの程度食品に蓄積されているか、また調理加工によって生成量に変化があるかなどの知見が乏しいのが現状である。本研究では、これまでにあまり解析がなされていない極性物質にターゲットを絞って、①新規メイラード反応生成物の探索と同定、②簡便で正確な定量方法の開発と食品試料への適用の2つのテーマを軸にして研究を展開する。 平成27年度は最終糖化生成物であるAGEs7種の定量方法を構築し、褐変食品への適用を試みた。飲食品から摂取する外因性AGEsが内因性AGEsと同様に生体に悪影響を及ぼす可能性が指摘されていることから、食品中に含まれるAGEs量を正確に把握する必要がある。分析装置にLCMS-8030(SHIMADZU社製)、分離カラムにIntrada Amino Acid(Imtakt社製)を用いて高感度で簡便な定量方法を確立した。本法を用いて様々な醤油やビール系飲料に含まれる遊離AGEsを分析したところ、醤油中にはCML, CEL, MG-H1, GOLD, MOLDが検出され、ビール中にはCML, CEL, MG-H1が検出された。また、醤油を37℃で1~4ヶ月間貯蔵すると貯蔵期間中にCML量が顕著に増加した一方で、90℃で3時間加熱するとMG-H1量の増加が確認された。原材料・製造方法や貯蔵・加工条件によって形成するAGEsに違いが見られたことから、食品の品質評価に応用できる可能性が示された。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
初年度はAGEsの分析方法および食品試料の前処理方法を検討し、シンプルな分析方法を確立することができた。本法を食品試料に適用する上で、食品試料由来のマトリックス効果の影響をいかに減少させるかが正確な定量分析を行う上で非常に重要であることが判明したので、この知見を基に、他成分についても効率的にLC-MS/MSによる分析方法を確立していくことができると考えている。
|
Strategy for Future Research Activity |
初年度は構造既知のAGEsの定量方法および食品の前処理方法を確立することができた。この方法を基に、今後は様々なメイラード反応生成物の定量を行う予定である。それと同時に、これまでODSカラムを用いた分析で見逃されてきた反応生成物についても探索・同定を進めていく予定である。
|
Causes of Carryover |
初年度はメイラード反応既知生成物の定量方法の確立に注力し、未知物質の探索と同定を行わなかったため、予算が幾分余った。
|
Expenditure Plan for Carryover Budget |
次年度以降は未知物質の探索についても取り組むので、当初の使用計画通りに進行すると考えている。
|
Research Products
(4 results)