2016 Fiscal Year Annual Research Report
The role of astrocyte lipid rafts in mental disorder induced by a lack of nutrition
Project/Area Number |
15K16206
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
香川 慶輝 東北大学, 医学系研究科, 助教 (30728887)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 脂肪酸結合蛋白質 / アストロサイト / 脂質ラフト / caveolin-1 / ヒストンアセチル化 |
Outline of Annual Research Achievements |
アストロサイトは脳内で神経ネットワーク及び神経可塑性の制御といった役割を担っている。近年、その制御機構の異常が統合失調症などの情動行動を伴う精神疾患の発症に関与していることが指摘されているが、詳細なメカニズムは未だ明らかにされていない。本申請では、アストロサイトに高発現している細胞内脂肪酸シャペロンの一つである脳型脂肪酸結合蛋白質(FABP7)に着目し、細胞内シグナル応答に重要な役割を持つ脂質ラフト制御機構への関与を検証した。 本年度は、FABP7による脂質ラフト骨格蛋白質caveolin-1の発現制御メカニズムの解析を重点的に行った。FABP7-KOマウスより樹立した初代培養アストロサイトではcaveolin-1の転写調節領域のヒストンのアセチル化レベルが低下していた。一方、FABP7を強制発現させた細胞株ではヒストンのアセチル化レベルが増加していた。このことより細胞内のFABP7発現レベルがヒストンのアセチル化レベルに関与していることが示唆される。そこで、新たにFABP7に核局在シグナル(NLS)、及び、核外移行シグナル(NES)を付与したコンストラクトを作製し、細胞局在別のFABP7の役割を検討した。FABP7が核内に局在するとcaveolin-1の転写調節領域におけるヒストンのアセチル化レベルはコントロールに比べ増加し、caveolin-1のmRNA、蛋白質発現も増加した。一方、FABP7が細胞質のみに局在したとき、caveolin-1転写調節領域のヒストンのアセチル化レベル、caveolin-1の発現はコントロールと同等のレベルを示した。すなわち、核内のFABP7レベルがcaveolin-1の転写制御に密に関与していることが示唆される 以上の結果よりFABP7に調節されるアストロサイトの核内脂質動態が遺伝子転写制御機構に関与している可能性があることが明らかになった。
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