2016 Fiscal Year Research-status Report
インターメディアを用いた技術史資料情報のユーザー共進化アーカイブプログラムの開発
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15K16247
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
山下 俊介 北海道大学, 総合博物館, 助教 (50444451)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | アーカイブ / 共進化 / インターメディア / 技術史資料 |
Outline of Annual Research Achievements |
アーカイブプログラムにおける資料を利用したことのあるユーザーと未来のユーザーの共進化を検討するため,所属館が資料提供を受けた80年代の初期ワープロ機を対象として,双方向からの情報の聞き取りと記録撮影を実施した. 未来のユーザーとして措定した言語学専攻の学部生には,受入時の機器を開く状態から関与させ,組み立てから作動させるまでの一連の作業を,各部における疑問を発語してもらいながら行い,映像で記録した.機器のハードウェアにおける組み立て・動作については,マニュアル等を用いることなく,殆ど迷わずに作業を進められたが,テキストタイピングから印刷に至るソフトウェアの部分については,マニュアル等を参照しながら幾度となく試行錯誤が繰り返された. 加えて寄贈者である資料を利用したことのあるユーザーが使用していたマニュアル,教本や練習記録などにも未来のユーザーは多くの関心を払い,それぞれの資料の使用頻度等も確かめながら,資料が使用されていた当時の状況を想像しようとする姿勢が随所に観察された. 本実験では,ワープロから現時点でのPCに至るまでのハードウェア設計思想に大きな変化がないことと,ソフトウェアにおいては一定程度のユーザービリティに関する設計思想の変更があったことが実地で示された.同時に,機器以外の付帯資料をもとに,機器を利用したことのあるユーザーの利用体験や,資料を取り巻く当時の社会状況や職業への関心が紡がれることが明らかになった.一部の資料部品に使用感が見られなかったことに気付き,資料を利用したことのあるユーザーの利用状況に対する深い関心が生まれたことも注目に値する.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本年度,所属館の耐震改修等に伴う資料移転等で,未来のユーザーによる資料を触る作業とその記録化が遅れたため.
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Strategy for Future Research Activity |
記録された映像に対して,資料を利用したことのあるユーザーの応答,また資料を利用したことのあるユーザーの伝えたい情報を記録し,インターメディアをもとに双方向の情報交換を行い,共進化が起こる状況を明らかにする.
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Causes of Carryover |
所属館耐震改修等により資料へのアクセスが叶わず,本年度の研究が遅れたため,研究成果の発表に使用する学会旅費等を次年度使用に繰り越しした.
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
研究成果の発表に必要な学会旅費等を次年度使用する.
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