2017 Fiscal Year Annual Research Report
Developping co-evolutional archival program using intermedia on information of technological materials
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15K16247
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
山下 俊介 北海道大学, 総合博物館, 助教 (50444451)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 技術史 / コミュニケーション / アーカイブ |
Outline of Annual Research Achievements |
昨年度までの研究により,「実際に機器を使用したことのあるユーザー」と「未来のユーザー」の間で情報を循環させ,ユーザー共進化アーカイブプログラムが機能するためには,未来のユーザーから投げかけられる疑問・質問が重要なキーになることが示唆された.また,資料に対する多様な利用可能性を保証するため,特定されない潜在的な未来のユーザーを参加させる仕組みの構築が課題として明らかになった.さらに量的な対応の面からは,調査者が両ユーザーの対話の場に立ち会わなくても自律的にコミュニケーションが進行するシステムを検討する必要が生じた. このため本年度研究においては,「実際に機器を使用したことのあるユーザー」を過去の情報を知るユーザー,「未来のユーザー」を過去のことを知らないユーザーと単純化して,同一の対象物(建築物等)に関する過去の写真と現在の写真を見比べながら質問やコメントを入力する環境を用意し,展示として実施することで不特定多数の来館者に閲覧してもらう,追加実験を行った.実験では,閲覧中の挙動の観察とともに質問紙調査を実施した.質問紙では年齢・性別・職業等の属性項目,来館頻度等の資料への関心の度合いの項目とともに,対象物の情報を知る/知らない,自発的にコメントや質問を発する/発しない等の項目を設定し,実際に質問やコメント入力を行ったかも調査した.調査結果からは,対象物に対する質問や疑問が他者のコメントを誘因する傾向が見られたが,自律的にコミュニケーションが進行する状態にまでは至らなかった.実験で得たデータをもとに,クロス分析等によって未来のユーザーをグループに分類したうえで,各グループごとの質問に対する動機やきっかけを詳細に分析する必要性が明らかになった.
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