2016 Fiscal Year Research-status Report
脳血管障害後注意障害患者を対象とした行動観察評価尺度の開発
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15K16364
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Research Institution | Health Sciences University of Hokkaido |
Principal Investigator |
澤村 大輔 北海道医療大学, リハビリテーション科学部, 講師 (20734750)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 注意障害 / 脳血管障害 / 行動観察評価表 |
Outline of Annual Research Achievements |
本行動観察評価尺度は既に外傷性脳損傷患者においてその信頼性、妥当性が検証されている評価であるMoss attention rating scaleを基に脳血管障害の症状特性に合わせて作成するものである。本邦は脳卒中大国とされ、2011年の厚生労働省の調査から脳血管障害患者数は推計123万人にのぼり、高次脳機能障害の原因疾患としては第一位である。もちろん障害別の疾患内訳においても注意障害の原因疾患として第一位であり、他の疾患と比較してもその総数は圧倒的に多い(種村ら、2011)。本邦において脳血管障害患者に使用できる行動観察評価表を作成することは脳血管障害後注意障害患者の検査場面と日常生活場面の乖離を埋める重要な役割を果たす可能性があり、治療戦略の立案においても貴重な情報の提供に貢献できる可能性があると考える。また、巣症状に対応し、生態学的妥当性が高く、また臨床場面で簡易的に使用できる行動観察評価尺度は臨床的有用性も高いものと考える。本尺度は脳血管障害版の尺度であるため片麻痺などの身体障害の影響、半側空間無視や失語症など他の高次脳機能障害の影響を排除し、可能な限り純粋な注意障害を観察から抽出できる尺度にするため十分に時間をかけて内容妥当性、表面的妥当性について検討してきた。その結果、仮尺度の完成に至った。今後はこの仮尺度において統計学的手法による項目選択を実施していく。統計学的手法による項目選択では天井効果や床効果の有無、項目の識別力、因子構成について検討し、不要項目の削除を行う。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
尺度の作成は専門家委員会の合意を必要であり、特に内容的妥当性、表面的妥当性の検討において時間を要した。
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Strategy for Future Research Activity |
多施設間で実施する予定であり、札幌市内を中心に複数施設に研究協力を依頼していく。脳血管障害患者240名に対して完成した仮尺度による評価を実施し、得られた結果に対して項目分析を行い、不適切な項目を削除し、本尺度の完成とする。平成28年度は、本尺度の他に、神経心理学的検査、Disability Rating Scale、機能的自立度評価法(Functional Independence Measure;以下、FIM)を脳血管障害患者240名に実施し、信頼性、妥当性、鋭敏性を検証する。
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Causes of Carryover |
研究の進行がやや遅れており、研究成果の発表に至らなかった。研究成果の発表に使用するための予算分が余剰金となったと思われる。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
次年度はデータ収集、および研究成果の発表のための旅費(国内外での研究発表)、論文投稿(英文校閲)のために使用していく予定である。
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