2015 Fiscal Year Research-status Report
虚血プレコンディショニングによる運動能力増加の効果基盤の解明と長期介入効果の検討
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15K16497
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Research Institution | Ritsumeikan University |
Principal Investigator |
菅 唯志 立命館大学, 立命館グローバル・イノベーション研究機構, 研究員 (30708673)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | ミトコンドリア機能 / 近赤外分光法 / 一酸化窒素 |
Outline of Annual Research Achievements |
一過性の全身持久性運動に先駆けて,運動肢に対して,短時間の虚血-再灌流を複数回繰り返す虚血プレコンディショニング(以下 IPC)を施行することにより,全身性運動持久能が増加することが明らかにされている.しかしながら,このような効果を成立させる生理的・分子的基盤に関しては未だ不明である.本研究は,IPCが血管内皮型一酸化窒素合成(NO)酵素(eNOS)由来のNOの産生を高めることで骨格筋ミトコンドリア機能を活性化して有酸素運動能力が増加するという一連の効果基盤を解明することを目的としている. これまでの成果として,IPCによる全身性運動持久能の増加が骨格筋酸素化動態の促進に関連する可能性を示唆した(Kido, Suga et al. Physiol Rep, 2015).さらに,IPCの効果が骨格筋よりもむしろ心臓の適応を介して生じている可能性が少なからず想定されるため,局所持久性運動におけるIPCの効果を検証した.その結果,局所持久性運動によっても骨格筋脱酸素化動態の促進が認められ,運動持久能が増加することを明らかにした(Tanaka et al. Int J Sports Med, in press).したがって,IPCによる全身性運動持久能の増加の基礎基盤は,骨格筋機能が高まることに関連することが強く示唆された.現在,この骨格筋機能の増加がミトコンドリア機能の活性化に関連していることを明らかにするため,近赤外分光法を用いたin vivo骨格筋ミトコンドリア機能測定によって,IPCが骨格筋ミトコンドリア機能の活性化を生じるかについて検証している.また,実験動物を用いて,IPCによって骨格筋ミトコンドリア機能関連タンパクの発現が増加するかについて検証も行っている.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の研究計画通り,IPCが骨格筋ミトコンドリア機能の活性化もたらす可能性を示唆することができた.しかしながら,その直接的な証拠を得ていないため,臨床研究および基礎研究による両アプローチからIPCが骨格筋ミトコンドリア機能を活性化するかについて検証を行っている.
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Strategy for Future Research Activity |
現在,IPCが骨格筋ミトコンドリア機能を活性化するかについて,臨床研究および基礎研究による両アプローチから検証を行っている.さらに,今後,IPCによる骨格筋ミトコンドリア機能の活性化にeNOS由来のNOが関与しているかについて検証を行う.
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Causes of Carryover |
当該年度の実支出額において,16円を使い切れなかったため,次年度使用額として16円が計上された.
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
実支出額を0円にするよう計画的に使用する.
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