2015 Fiscal Year Research-status Report
プラトンとアリストテレスの文芸論とその現代的意義の研究
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15K16631
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
田中 一孝 京都大学, 高等教育研究開発推進センター, 助教 (50705192)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | プラトン / 文芸論 / フィクションと感情 / ミーメーシス / 国家 / 模倣術 / ミーメーシス |
Outline of Annual Research Achievements |
研究の初年度は、プラトンの文芸論の現代的な意義を明らかにするために、現代におけるフィクションと感情に関する議論との比較を試みた。 感情が文芸作品によって喚起されることはフィクション論で大きな問題とされている。現実世界において通常我々は、存在を信じていないものごとに感情を左右されない。しかしながら、架空だと分かりきっているフィクションにおいては、恐怖や憐れみなどの感情が引き起こされる。そしてこのことは不合理なことだと考えられてきた (Radford, ibid; R. J. Yanal, Paradoxes of Emotion and Fiction, 1999)。この議論は、フィクショナルな対象に対する感情が、現実世界の場合と一致しないことを問題としており、その意味において、フィクショナルな世界と現実世界を峻別した上で成立している。 他方、プラトンの文芸論においては、現実の感情と文芸に喚起される感情の間に、本質的な差異が認められていない。むしろ、現実の世界と文芸の世界を言わば相補的なものとして捉える視点が見てとれる。すなわちプラトンは、文芸の鑑賞体験とは、現実の世界の経験に基づいて、文芸作品の内容に感情によって反応し、それと同時に、文芸作品への反応が現実の世界における感情のあり方にフィードバックと捉えていることを明らかにした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究の途中で研究機関の変更があったが、初年度の研究については複数の学会にて発表(予定中も含む)するに至っている。
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Strategy for Future Research Activity |
引き続きプラトンの文芸論と、その現代フィクション論における意義を研究するとともに、本年度はアリストテレス『詩学』の研究にとりかかる。その成果について学会、学術誌において公表していく。
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