2015 Fiscal Year Research-status Report
ピアノロールの計量的解析によるワルツ作品の演奏分析
Project/Area Number |
15K16642
|
Research Institution | Fukuoka Prefectural University |
Principal Investigator |
鷲野 彰子 福岡県立大学, 人間社会学部, 講師 (20625305)
|
Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
|
Keywords | ピアノロール / 計量的解析 / ワルツ / ルバート / 速度変化 / 非同時的奏法 / 演奏分析 / 自動演奏ピアノ |
Outline of Annual Research Achievements |
今年度は、資料の収集とデータ計測のためのシステムの開発を予定していたが、それらのうち、本研究で用いるのに最低限欠かせない内容についてはいずれもかなり早い段階で達成できた。それゆえ、ピアノロールをどのように計測し、何をどのように分析することが可能かについて様々な試作を試みることが可能となり、初年度中に分析の方法を概ね確立することができた。また文献についても、まずは国内で入手可能なものについては概ね入手でき、また内容の把握もできている。 ピアノロールの分析については、対象とするピアノロールの資料全てを分析するに先立ち、今年度は一つのピアノロールをもとにピアノロールを用いた分析の可能性を探った。その際、演奏において、主にどのようなルバートが用いられているのかに焦点を当てて分析を試み、非常に興味深い結果を得られたことから、今後、より多くの資料を対象とする際にも応用できるのではないかと期待している。 また、国外における本研究に関連する研究の状況についてもリサーチを行い、翌年度以降に予定している海外における調査の具体的内容の検討及び研究者へのコンタクトを開始した。その過程において、スタンフォード大学における研究者と話を進めることができ、平成28年度は当大学に客員研究員として所属することとなった。平成27年度の後半以降は、翌年度の長期研修先が確定したことから、当初予定していた本研究の研究の手法や順序を再考する必要に迫られ、内容自体には大きな変更はないものの、手順等については若干の変更を加えている。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
ピアノロール計測のためのシステムを依頼し、一部については完成、またそれ以外の部分については現在トライアウトの状態にあるが、これが使えるようになったことで、ピアノロールの計測が格段に進んだ。現在は依頼先である九州工業大学と相談しながら、このソフトの最終的な完成を目指しているところである。また、平成28年度は1年間海外の研究機関で活動することになったが、その準備をするにあたって、ヨーロッパ及びアメリカにネットワークを広げることができ、多岐にわたる情報の入手が進んだ。 また、当初よりも研究がスムーズに進んでいるため、翌年度以降に予定していた分析手法の洗い出しに取り掛かることができ、一つのピアノロールをもとに、分析内容及び手法を実験し、おおむねその手法を確立することができている。
|
Strategy for Future Research Activity |
平成28年度は1年間にわたって、海外の研究機関(スタンフォード大学)で研究に特化して活動できるようになったことから、飛躍的に研究を進めることが期待できる。当大学は、本研究に必要な資料の多くを保有しているほか、学内に、本研究の関連内容(自動演奏ピアノ、演奏解析、演奏法研究)に詳しい研究者がいるほか、学外の研究者とのコネクションも強いことから、そうした環境を活用して、研究を進めたいと考えている。 特に、ピアノロールや自動演奏ピアノについての文献資料の入手が非常に難しかったことから、そうした文献の調査も今年度は進めていきたいと考えている。
|
Causes of Carryover |
請求当初には予定していなかったが、平成28年度の1年間、充実した研究環境のもと研究を行えることになり、研究の順序や手法を若干変更したため(具体的には、自動演奏ピアノ全般に関する調査及び多くのピアノロール資料を用いた分析は翌年度以降に持ち越すこととし、平成27年度は、その分析の方法を確立することを優先することとした)。
|
Expenditure Plan for Carryover Budget |
平成28年度は、海外研修先であるスタンフォード大学から、研究に必要となる各研究機関に出かけて調査を進めたいと考えており、そのための旅費が当初予定していたよりも余分に必要になる見込みである。当大学は多くの研究者や自動演奏楽器に通じた人とのコネクションも強いことから、そうした研究者からも情報を収集してより正確な情報を得たいと考えている。また、研究のための資料自体はスタンフォード大学が保有しているものを使えることから、できるだけそれらを活用したいと考えている。
|