2016 Fiscal Year Research-status Report
Research on Musical Style in Music Activity that Aims for Social Participation of People with Disabilities
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15K16666
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Research Institution | Osaka City University |
Principal Investigator |
沼田 里衣 大阪市立大学, 都市研究プラザ, 博士研究員 (10585350)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | コミュニティ音楽 / 即興音楽 / コミュニティーアート / 音楽療法 |
Outline of Annual Research Achievements |
前年度に実施した国内の障害者を含む芸術活動を行う団体の視察の結果から、そうした活動の際には、音楽とは何か、技術の異なる人が共演する際にどのようにしたら良いのか、と言う対話を行い、そこから生まれる価値観の更新が、批評の固定化を避けて障害者を含む一人一人の主体性を確保するために重要であることが明らかになった。この成果を、共著「障害のある人の創作活動 実践の現場から」の一節「演奏が広げる人のつながり」において発表した。 研究対象としている筆者が主宰する「音遊びの会」と「おとあそび工房」においては、前者の活動を共著「ソーシャルアート 障害のある人とアートで社会を変える」の一節「異質な価値観を楽しむ即興音楽 音遊びの会(神戸市)」においてまとめ、即興による音の対話が障害者を含む新たな関係性を考えるための社会実験の場となっていると結論づけた。平成28年度は、引き続き活動を続ける中で調査・研究を実施し、「おとあそび工房」については、プロのアーティストに頼らずに参加者自らが考えて実施する公演を行った。その活動については、次年度に引き続き継続し、参加者と外部の実践家・研究者を交えて開かれたディスカッションの場を設定し、こうした活動のあり方を考えていく予定である。後者の活動「音遊びの会」においては、お笑いという「言葉」を取り入れた他団体とのコラボレーションによる新たな試みを実施したが、対話の場が不足した原因によって関係者が主体性を持てない状況が生まれ、組織運営の方法を再考する結果となった。こうした活動から生まれた音楽形態は、YouTubeにて公開された講演「美しい音楽とは?」(TEDxKOBE 2016)を含め、様々な講演やワークショップを通じて、特別支援学校の教員や障害者施設職員等を含む一般の多くの人々に還元する活動を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
前年度に行った調査研究に加え、実践研究と理論研究の総合的な研究により、最終的な目標である障害者の社会参加を目的とした音楽活動における音楽についてまとめることの素材を整えることができた。研究計画としては、新たなコミュニティを創成することを考えていたが、参加者の出入り自由な現在の形態をそのまま続けていくことが研究を促進する上で重要と考え、引き続き現存のコミュニティのなかで様々な音参加者との対話を行い、音楽形態を模索することとした。
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Strategy for Future Research Activity |
前年度までの研究成果をまとめる作業を行い、学会での口頭発表、論文執筆を行う。また、実践研究においては、研究者と実践家を交えた公開のミーティングを実施し、研究テーマについて引き続き考察を続ける。
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Causes of Carryover |
研究会を開催予定であったが、今後の計画を実施するうえで次年度に行うのが適切と考え、次年度執行のために生じた。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
5月に実践を振り返る会を外部の研究者・実践家、そして実践の参加者・一般参加者を交えて実施する。
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